映画 海を飛ぶ夢

鑑賞日時/15.7.19. 14:00~16:05

脚本/アレハンドロ・アメナーバル+マテオ・ヒル
監督/アレハンドロ・アメナーバル
制作/アレハンドロ・アメナーバル+フェルナンド・ボバイラ
制作会社/SOGECINE+HIMENOPTERO
(スペイン・フランス・イタリア)

会場名/深川 アートホール東洲館

贅沢な悩み?

事故で首から下が動かなくなって26年経った51歳の男(=ハビエル・バルデム)の死への思いは、理屈としてはよく分かるし、そのために自殺幇助の法律改正に奔走する人たちの、いわゆる尊厳死への想いも理屈としてはよく分かる。
だが、51歳とはいえ3人の女性から想いを寄せられた男、しかも26年寝たきりにしては顔色も良く禿頭とはいえハンサムな男が死に憧れるというのは贅沢過ぎる。
それにこの男は相当に恵まれた環境に居る。自分だったらそれに甘えて生きてゆくだろうなと思う。実際にこういう人たちというのは生活環境がもっともっと悲惨なんじゃなかろうか? そういう人たちにこそ究極の選択肢として尊厳死があるような気がする。ただ僕自身は、回復の見込みがなく文字が読めなくなったら尊厳死させて欲しいとは遺言しているのだが……
第153回芥川賞を受賞した羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』は「祖父を『究極の尊厳死』に導こうとする孫の話であり、医療や介護が発達し理想的な死を得られなくなった高齢社会の現状をホームドラマの中にちりばめた秀作」(「芥川賞を振り返って」上田貴子)と書いている。(15年7月22日 北海道新聞)