10才児

観劇日時/15.7.11. 19:00~20:40
劇団名/劇団怪獣無法地帯×3ペェ団札幌

上演回数/10周年 記念公演
照明/樋口優里 音響/下家弘・小林健輔 舞台美術/濱道俊介
衣装/佐藤宏美・大坂友里絵 宣伝美術/中村犬之介・温水沙知
協力/荻田美春・長岡登美子 制作/劇団怪獣無法地帯・3ペェ団札幌

劇場名/琴似 パトス

演目1  ペンギンたちに聞いてみる

怪獣無法地帯

作・演出/伊藤樹 

出演/塚本雄介 新井田琴江 長谷川碧 シチュー山本 
小林健輔 大沼理子 足達泰雅 伊藤しょうこ

生きるべきか、死ぬべきか……

孤独な青年の住いの裏にある公園では、いろんな遊戯道具が七色に輝き、たくさんのペンギンたちが元気に遊んでいる。ペンギンたちは『ハムレット』の「生きるか死ぬか、それが問題だ」の回答を求めて様々な違う訳者の翻訳の語句を引用しながら、ほとんど遊んでいる。だが青年はそこに引っ張り込まれて悩んで自殺寸前までゆく。ペンギンたちは五色の風船を舞台いっぱいに飛ばして青年を助ける。

演目2  褥語―シトネガタリ

3ペェ団札幌

作・演出/忠海勇
 
出演/三宅亜矢 小松悟 原田充子 忠海勇

自分を過小評価する男の悩み

良家の二男坊がフトしたはずみで花街の花魁に憑り付かれる。恐怖に呻吟するが勢い余って絞め殺す。だが花魁は死んではいなかった……
男の役は文楽人形を使って幻想的に表現する夢幻の世界だが、人形であることは、男が自分を過小評価する悩みの象徴表現とも感じられる。

演目3  俺NG   

3ペェ団札幌

作・演出/長流3平
 
出 演/籠谷翔太 棚田満 しちゅうやまもと 遠山達也
石川亨信 柳瀬泰二 長流3平

俺はダメだと思った男はどうしたか?

山中に迷い込んで倒れた男を介抱したのはオレンジの精だった。彼女に一目惚れした男は追い駆けて、大きな樹に逃げこんだオレンジの精に再会するべく大樹の精たちと決闘をする。
「俺NG」というタイトルは自己否定の語のようだが、「俺NG」=「オレンジ」ということは、俺がオレンジの精に出会って元気百倍、恋敵ともみえる大樹の精たちに果敢に向かってゆくという激励の話だろうか? 言葉遊びによる自己啓発の物語か。

演目4  いい奴とわるい奴    

怪獣無法地帯

作・演出/棚田満 

出演/屋木志都子 梅津学 とみけん 
吉川直毅 井口浩幸 オクシマヤスシ
長流三平 三宅亜矢 柳瀬泰二

善悪の因はともかく、善者の勝つ殲滅戦の爽快さ

財宝を巡る善の女と悪のグループとの連続決闘。不死身の善の女、地元の原住民がさり気なく協力する。何かの西部劇映画のパロディらしいが僕には良く分からない。何ゆえに善なのか悪なのかは問題外で、ともかく「いい奴と悪い奴」との殲滅戦があるのみなのだ。
世の中をスッパリ善悪に二分して、その総力戦だけを延々と描写するだけなのもいっそ小気味がいいとも言える。ともかく「怪獣無法地帯」は殺陣に定評があり、この舞台も何故かスッキリするのだ。