INDPENDENT:SPR 15
観劇日/15.6.13
主催/NPO法人コンカリーニョ

共催/INDPENDENT Consortium  企画協力/㈱INDPENDENT
公演回数/SPR第5回
舞台監督/高橋詳幸 照明プラン/高橋正和
照明操作/大橋榛名 音響/大江芳樹
総合プロデユーサー/相内唯史 SPRプロデューサー/米澤春花

劇場名/コンカリーニョ

Aブロック 上演時間/17:00~18:30

 

演目1  世の中を動かす4つのうしろだての話
 

脚本・演出/堀内まゆみ 出演/剣崎薫

政治力・金・集団圧力・宗教の4つの力を、火・土・風・水の4つの自然現象に託して表現しようとした抽象的なパフォーマンス。   
政治力を、立候補演説の熱いマイクに託した最初のパフォーマンスは分かりやすいが、勤め先と家族との馴れ合いと怠惰な関係、独身のサラリーマンのほろ酔い帰宅、彼女との関係・人生相談。ひたすら何かに謝罪する、地面の土をかき集める、といった行為と標目との関係は分からない。台詞が心情吐露だけで対話になっていない。
四隅に建てられた円錐状に上下を重ねた4本の柱を人物に見立ててそれを相手に会話をしようとするアイデァはちょっと面白そうだったが、意余って力足らずの観念的な自己満足の典型的作品。

演目2  graph

脚本・演出/勝山修平 出演/立花裕介  from 大阪

大量に散らかった往復書簡。それらをかき分けて一通を拾い上げ読む。画家・ゴッホの手紙を詠む弟テオだということはその読まれた手紙の内容ですぐに分かる。
ゴッホの苦悩と狂乱、自信喪失と死の恐怖。慰め激励するテオ。二人の愛憎。兄と弟二人の心を一人の内心の葛藤として表現する一人芝居の第三のパターンで珍しい形式であるが、構成が良く一人芝居として二人の葛藤の表現が上手くいった。最後はゴッホの「ダメだ」で終わる悲劇。

演目3  山 

脚本・演出/松崎修 出演/山脇実乃里

一人暮らしの女子大生、日曜日の夕方。カレーライスを作りながらの独り言。なぜカレーが食べたいのか、カレーライスの作り方、そしてエスカレートして現在の環境と心境。それらの心境をケータイを使って、あたかも実況放送のように伝えようとする。誰かの反応を待つ寂しい女一人。これ誰かの反応と、その後の展開があれば面白かったのに。


Bブロック 上演時間/20:00~21:20

演目4  虚飾で彩られたカラス 

原話/イソップ寓話 脚本・演出/立川佳吾 出演/飛世早哉香

小・中校とクラスの中心だったアスカに取り入って仲良くなり自信を持って高校でトップとなる女性。
大学で自信を失い、30歳で失恋、これからどう生きるのか? 女の前半生。成功と挫折のいきさつ。全編、絶叫調の独白で生きてきた経歴を語るのみ。大袈裟で説得力が乏しい。
学童用椅子を10脚ほど演技に従って並べ替えて、その上で演技をするのだが、おそらく学童を象徴しているのだろうが何とも危なっかしい。危なっかしい人生を演技しているのかと思ったが、演技ではなく実際に危なっかしいのだから集中して観ていられない。

 

演目5  駆込み訴え 

原作/太宰治 脚本・演出・出演/田村嘉規

愛と憎しみの一部始終を訴える全文を、実際に訴えるように読み上げる。それだけで殆ど動きがない。ラスト近くなって訴える対象人物のデスクに近寄るのだが、これじゃ本を読んだ方が想像力は大きい。この舞台からはそれ以上に感じられるものは無かった。残念ながら後半にやや眠った。滑舌が悪いのか意味不明の語句が頻出する。
同じ物を「劇団yhs」の小林エレキが上演したが、あれは刺激的で面白かった印象が強い。

 

演目6  ライト 

脚本・演出/関戸哲也 出演/おぐりまさこ


弁当製造工場の深夜勤務で、シューマイにグリンピースを乗せる作業だけを7年間やっている中年の女工員。仕事に誇りを持ちながら上司への提案から始まって愚痴、不平、家族の悩みなどへと話題がとっちらかる。彼女の人生のすべてが如実に現れるのだが、その先にあるものは闇か光か?
観客には見えない上司との対話にリアリティがあり、この女の現実と微かに見える闇と光が浮き出てくる。今日の最優秀作品であろうか。