バースディ・パーティ

観劇日時/15,5.23. 14:00~16:00
劇団名/演劇集団・円
公演形態/演劇集団・円 シアターX 提携公演

作/ハロルド・ピンター 翻訳/喜志哲雄
演出/内藤裕子 ドラマトゥルク/芦沢みどり
美術/吉野章弘 照明・照明操作/佐々木真喜子
音響・音響操作/穴沢淳
衣装/清水崇子 舞台監督/清水義幸 演出助手/宮田清香
制作/桐戸英二・桃井よし子
舞台監督助手/大島明子・今井祥佳 
制作助手/宮本良太 制作デスク/水野有美子
宣伝美術/坂本志保 写真撮影/森田貢造

劇場名/東京・両国 シアターX(カイ)

不条理を超えたスーパー不条理の恐怖

話の筋は、ごく明瞭なのに実際には何が起こったのかほとんど分からない。何かが起きて展開しているのにその意味が全く不明なのだ。
基本はごく平凡な湖畔の民宿の老夫婦、夫・ピーティ(=野村昇史)は港を発着する船舶の整備員、妻・メグ(=山乃廣美)はちょっと天然の可愛い老婆。
ピアニストの男・スタンレー(=岩崎正寛)が長期滞在しているのだが、このピアノのない宿に長く居るピアニストというのもどういう理由があるのか何か不自然だが、孫のようなスタンリーをネコ可愛がりするメグと、甘えて傍若無人に振舞うスタンリーの日々が展開する。
そんなある日、一宿を求めて二人の男、ゴールドバーグ(=石住昭彦)とマキャン(=佐藤銀平)が訪れる。夫が仕事に妻が買物に出かけた留守の間に、二人の新参者はスタンリーの誕生日を祝う会を催すと称して、なぜか関心のないスタンレーに意味不明の難問を投げかけ、自由人であるはずのスタンレーは最初こそ何とか言い返していたのだが、何かを問い詰められるような展開の中で、いつの間にか阿呆のように無抵抗となる。両者の間に何があるのか?
だがこの経緯は不自然だ。この展開の中では、いくらでも逃げられる瞬間があったはずで、単なる自縛のように自ら迷路に追い込まれるように、というか自分を追い込むような心理が納得できない。これが自称ピアニスト・スタンレーの性格なのか? 彼の過去に何かがあったのだろうか? とするとスタンレーとは何者なのか? 追い詰める二人にはどんな悪意があったのだろうか? 見えない悪意の恐怖! そのことをスタンレーは知っていたのか?
宿の主人夫婦と二人の訪問者との間に存在しようとするスタンレーが、自己の存在証明を作ろうとした演技なのだろうか? 二人の男は言語明晰なのに行動の意志は不明、或る意味で人間の在り方の象徴なのだろうか。 それとも何か具体的な弱みを握っていたのだろうか? とすると二人はもっと具体的な追求をするはずなのに何とも意味不明で焦慮感が強い。スタンレーの意味不明の恐怖……

他に近所の女性・ルールー(=深見由真)がときどき訪問したり、バースディパーテイに参加するのが日常との接点として存在感を示す。