おバカな高校演劇対決

回数/第八回
上演日/15.3.29.

会場名/札幌市教育文化会館 小ホール

演目1  わがままな願い

上演時間/16:00~17:00
学校名/釧路湖陵高校 演劇部

作/阿部壮太郎(演劇部・顧問) 潤色/釧路湖陵高校 演劇部
演出/石橋知奈 照明/小野彩音 音響/鈴木晴菜

夢のあと 
 出演/長沢颯一朗・吉田実由・外舘友愛
 目覚めたヒロムは実は死んでいた。みると婚約者とその後輩の女性との様子が異常だ。死者を仲にした3人の関係が露わになって行く。2人の会話に入れないヒロムは焦るが、自分の死を自覚出来ていない。
 不条理の中での真実。ベケットの『PLAY』を感じさせる。

前夜 
 出演/長沢颯一朗・石橋知奈
 両親の亡き後、たった二人だけ残された兄妹。兄は妹のために働いていた。最近、妹は結婚を迎える。兄の本心は暖かく送り出したいのだが相手はどんな男なのか? 妹の愛の真実と確かさを知りたい。妹は我を通すことにためらいもある。お互いに近い肉親だからこその行き違いが残る。
妹が席を外した時、逆に兄が席を外した時、両親が残した巨大な犬の縫いぐるみにそれぞれの思いを託した兄・妹は……


 ☆


 高校生とは思えないほど、人間心理の交錯をリアリティのある演技で確実に描いて行く。
ただスタッフの担当が分からなくて困った。特に作者を初め責任体制はキチンと書いておくべきです。スタッフ名は『CHファイルズ』という雑誌から転載した。

演目2  変身 ver 3.7

上演時間/17:20~18:20
学校名/大阪精華高校 演劇部

台本/鶏頭三歩こと小松陽介(顧問)・中川壮一(OB) 演出/HIDE
舞台監督/西村幸樹 照明/角野茉里奈 音響/山崎遼
出演/村瀬悠美菜・塚本このみ・佐々木琢央・
森龍也・佐竹英生・赤松麗那・堀川創一郎

 ほとんどナンセンスな、いわゆるコントを何篇か続けて演じるが、まるで短編マンガの連載みたいな感じ。これが高校演劇とは思えぬセンスと高度な技術。でも一体これは何なのだろうか?


演目3  バリバリ村の市民会館2015秋

上演時間/18:40~20:40
学校名/札幌北陵高校 演

作/にへいこういち 演出/木村幸恵
音響/細川美樹・江渡紫花・佐々木晴菜
歌指導/江渡紫花 ダンス指導/桑原友貴奈 照明/居戸瞳・三品慧
出演者/小山内日和・桑原友貴奈・江渡紫花・
清水優美・伊藤かな子・岩佐茉莉花・
阿部七菜子・木村幸恵・細川美樹・
にへいこういち(顧問)

若さの純粋な理想

 村の高校が、廃館になる市民会館の存続を訴えるために、総力を挙げて、この村の主産業であるメロンと害獣である鹿の対立を描くミュージカルを創る。
村長は巨額の財政赤字の対応処置だというが、高校生たちは村にとって文化の拠点は絶対に守りたいと理想に燃える。
 これは現実の夕張市がモデルだが、僕は福祉(医療を含む)・教育・そして文化は人間の存在のために絶対必要なものだと言う信念を持つ。この三つは金が掛かる一方だし絶対に利益は出ない。文化は上手く運営すれば収益が期待されるけれども全額を賄ったり況や利益が出せるのは稀なことだ。
 そういう観点から、この話は大いに関心が深い。高校演劇としては良い視点で、若さの純粋な理想を率直に表現して気持ちが良い。この志をぜひ持ち続けて欲しいと痛感する。