旅する小舟

観劇日時/15.2.21. 16:00~17:50 (途中休憩15分)
劇団名/拓大ミユージカル公演実行委員会

脚本・音楽/土門裕之(教授) 演出/山田克己(准教授)
その他 指導教授・外部の指導者 多数

劇場名/深川市民文化交流ホール み・らい

創る過程と同時に、出来上がった作品の内容が問題である

 大学を卒業した康太(=高野翼)は、恋人の社長令嬢・里沙(=紺野真友梨)の縁で大会社へ入社した。ところが意志の弱い康太は将来の社長候補と目されながら、自分の能力の無さに悩んでいた。
 そのころ郷里の深川へ帰ったら、幼馴染たちが歓迎してくれて、過去の時間へ戻れると言う音江の遺跡へ案内された。その観光用の「旅する小舟」に乗った康太は、父親が苦労して築きあげたイタリアンレストランの歴史を見た。
 康太は会社を辞めて独立する決心をし、それを受けた里沙は付いて行くことを決心する。果たして彼らは大丈夫だろうか、ハッピイエンドではない ? で終わる。観る人に考えさせた点では拓大ミユージカル史上の一歩前進だろうか?
 120㎝×90㎝のボード12枚を操っての舞台転換は、最初に見ると度胆を抜く美しさだが、これは既成の技術で何度か見たことはある。だが良く見ていると繋ぎ目や足許の隙間が見えて軽薄さを露呈して白ける。
 全体が物々しく予定調和で進行し、本筋と関係のないエピソードが頻出するが軽い。特に拓大名物のジャグリングが今回は低調で興を削いだ。
 途中休憩15分を除けば110分の上演時間、もっとテンポを速めて要所を締めれば1時間半で仕上がる。出演者を増やすために創ったシーンが無駄なのだ。「全員が協力して一つのものを作る作業の過程が教育だ」という観点からしたら宿命かもしれないが、入場料をとっているのだから、観る人にとってどういう表現が大事かという観点も大事だと思う。自己満足では観てくれない。それにしても2日間満員というのは僕の考えが間違っているのだろうか? 僕はあくまでも出来上がった作品の質を一観客として評価するだけだ。
スタッフ・キャストで参加した学生の総数は111名。