LONELY ACTOR PROJECT VOL. 21

観劇日時/15.1.4
プロデューサー/和田研一
企画・制作/演劇専用小劇場・札幌演劇人育成委員会

MC/寺地ユイ 照明/和田研一
音響/中村一希・熊谷嶺 映像/上田龍成
フライヤーデザイン/山田マサル 主題歌「ひとりぼっち」あらいふとし

劇場名/BLOCH

演目1  スティーヴンが飛んだ日

上演時間/13:00~13:40
脚本・演出/熊谷嶺 出演/山谷怜 
 
 才能を求めて紆余曲折、試しては諦めの繰り返し、気がついたら50年が過ぎていた。その経歴を昔話「桃太郎」に乗せてギャグっぽく語る。そう語るのだ。一種の仕草を伴った話芸なのだ。しかも一人称で状況描写やいわゆるト書きを説明し台詞は自分だけという、僕の規定する一人芝居の最悪の典型である第一類だ。演劇ではなく仕草を伴った朗読なのだ。良く言って話芸なのだ。

演目2  Ms.Understanding

上演時間/13:40~14:00
脚本/大崎けんじ 演出・出演/徳山まり奈
 

 敏腕ディレクターのある休日。思い込みが強い彼女は、予定した食事が次から次へと外れる。これも情景描写が多く、彼女の心情と詠嘆の台詞だけがすべて。

演目3  バッドエンドバッド

上演時間/14:00~14:20
脚本・演出/和泉諒 出演/桐原直幸
 
 バッドエンド専門の作家、疎外されて夜の公園のベンチに座る孤独な少女を取材してそれを書こうとする。やはりこの舞台もほとんど情景描写で、作家の心情が一人称で語られるのみ。

演目4  ちん○こ☆さんらいず

上演時間/14:30~15:00
脚本/谷村卓郎 演出/前田透 出演/遠藤洋平
 
 男の生理的本能の原始を表現して、この舞台は衣装も動きも派手で見応えがある。だがやっぱり説明や情景描写が多い。
 食物連鎖と生命の次世代への継承という厳粛な話題を、ピンクの長い棒状の道具を男性器に見立てて下品っぽくストレートに宴会芸のように演じるから爆笑・哄笑だ。

演目5  石な猫

上演時間/15:00~15:20
脚本・演出/IJIN 出演/女池祥子
 
 少女の可愛がっていた猫が死んで石になった。家族で旅行に出たら事故で両親を失った。一人残った少女は奇跡の神の子として牧師に引き取られて宣伝に使われた。
 自由のない彼女は牧師の許を飛び出し純情な若い男と出会う。だがそれは幼児だ。彼も死ぬが彼女は死なない。だが生きているだけが価値なのか?



 以上5作品、すべてが語り芸だ。演劇じゃない。「石な猫」のように少ない道具を縦横に上手く使って見た目は引き付けるが、これも情景と経過とを説明している。
 もっと相手の人物を想像させ得る表現方法があるはずで、そういう方法で一人芝居を演じている舞台はたくさんある。その方が観客に「人間の葛藤」という演劇の神髄を感じさせる力が圧倒的に強いのだ。今日観た一人芝居は相手役が居ないから省略したという印象が強く演劇としては損だ。