「幸せはある、神はいる。だが何処にあって何処に居るのかが分からないだけだ」ラストで呟く男のこの一人言がおそらく、この舞台のすべてを語っているのであろう。
だが全編怒声のような絶叫台詞と説明調のコーラスとでは、ほとんどなにを言っているのか不明だ。ただ感情を直線的に吐き出しているに過ぎない。確かに感情を剥き出しに突出させている凄さは伝わるが、それは演劇ではない。
これまでの『カラクリヌード』の舞台では、人間とその人間に使われる半人間との葛藤が近い将来の予感として感じられたのだが、今回は半人間同士の恋愛葛藤のようにパンフレットには書かれていた。でも舞台を観るかぎり、その予備知識で辛うじて半人間の情緒を表現して、近未来の悪い予感を予告しているのかな? と思うだけで感情の直接、暴力的ともいえる表現法に強い疑問を持つのだった。
同じ日に観た二つのハムプロの演目に何か同じような感想を持ってしまった。
出演/中塚有里・有田哲・石川亨信・渡辺友加里・竹屋光浩・セガワケイ・傍嶋史紀・
中江聡・天野ジロ・彦素由幸・古崎瑛美・高橋雲 |