蛾と笹舟

観劇日時/14.11.29. 18:00~19:20
劇団名/赤い風

作/森荘已池 演出/坂田裕一 美術/長内努
照明/村松智宣 作曲/川崎朱美 音響/reto
宣伝美術/Ryu-chang
舞台監督/菊池与志和 演出助手/菊池摩美
衣装/佐藤結子 制作/大森健一

劇場名/シアターZOO

旧き良き時代の精神的な豊かさ

演目1  店 先 

 芥川賞候補小説の劇化。森荘已池が旧制中学2年のとき、大人ぶって宮澤賢治を同人誌に誘ったとき、賢治は自分の本当の心境を語って、十歳も年下の若い森と親交を始めたきっかけを描いた心の交友が展開する物語。

 出演/賢治=菊池与志和 森少年A=村山惠美 〃B=畠山泉 〃C=星佳奈 
     演奏=佐藤結子・橋本佳織

演目2  蛾と笹舟 

 戦況悪化のとき、両親に死別し海軍大佐になった甥を育てた祖父は、老年になって山奥の今で言う独居老人。
 大佐の姉の一家はその老人を見舞うが、老人は一人静かに生きたい。臨終のとき、皆は思い出す。
 大佐の姉の主婦が幼い子供たちに笹舟を作るシーンに祖父の霊が蛾となって現れたり、大佐が南太平洋海戦の艦中にも祖父の霊が蛾となって現れたことを。
 命の繋がりの精神的な大切さ、それを持つことの豊かさ、現代に欠ける、こんな風景をじっくりと魅せる。
 小説の地の文を語ったり、素焼きの鉢物やぶら下げた金属を叩いたりする一風変わった音楽表現が、その意図は分かるが、どれだけ効果的だったかはいささか疑問だ。

 出演/父・祖父=坂田裕一 母=中山恭誉 長男=村山惠美 長女=畠山泉
     泰二=橋本佳織 洋三=星佳奈 謹一=大森健一 僧侶=おきあんご
     演奏=佐藤結子・菊池摩美