王女メディア -無惨なメディアの詩―

観劇日時/14.11.10. 15:00~16:00
劇団名/劇団 可変  韓国

作/「ギリシャ悲劇」+「煉獄」
(チリの作家アリエル・ドーフマン作「王女メディア」の現代版)
芸術監督/ソン・ヒョンジョン 演出/イ・ソング
演出助手・音響/キム・ナムヨン 照明デザイン/キム・ソンテ
舞台デザイン/イ・ユンス 舞台製作/イ・ユンジュン 
舞台監督/チャン・ホミン

劇場名/シアターZOO
出演/イム・ジョンウン ペ・ウジン パク・ヘヨン イ・ヒラン

男と女、あるいは支配者と弱者

 開幕前、舞台中央、水琴窟のような静かな音の中で、座った女性がゆっくりと大きな鋏で顔を覆うような布を切り開くと、中から真っ白な透け透けのガウンのような衣装の可憐な女性が現れる。
 座り込む真っ白なガウンのような衣装の女性、大きな鋏、ゆったりとした動き、すべてが幻想的、象徴的な開演前の30分だ。
 本編が始まる。男の身勝手な思い込みで振り回され苦しむ女の生き様。舞台上手(向かって右側)半分で展開されるのは、妊婦とその夫の現代風な日常風景である。
 下手(左側)半分は奥に浴槽、そしてその手前の舞台前面には大きなプール状の設え、開演前の女が浴槽の中で真っ赤な毛糸の玉を操って上着を編んでいる。プールは子宮であり真っ赤な毛糸は動脈、そして編んでいるのは我が子、つまり胎児であろうかと推測する。
 現実的な舞台で演じられる男と女、あるいは支配者と弱者を象徴するような対立のリアルな進行が右半分の舞台で、それを象徴するような場面が左半分の舞台で対照的に演じられるのだった。
 詩の立体的表現化とも言える緊密で濃密な1時間であった。