いとしの儚

観劇日時/14.10.30. 14:00~16:30
劇団名/21世紀FOX

公演回数/第73回公演
作/横内謙介 演出/肝付兼太 舞台美術/渡邊景子
舞台監督/藤間浩也 照明/大串博文 音楽/ノノヤママナコ
音響/田中英行・神保直史 振付/世理 宣伝美術/梅吉
制作/鯵坂万智子 製作/(有)劇団21世紀FOX

劇場名/東京・中野 THE POCKET

悲恋純情物語

 鈴次郎(=高瀬迅)は両親の居ない博打打ちだが、何故か賽子姫(=土方香織)という強い味方がいて、他の人には聞こえない鈴の音で丁半を知らせてくれる。
 鈴次郎の優しさに触れた儚(はかな=津村実智子)は鬼婆が死体を集めて作った人工女で心は生まれたばかりの赤子だ。 
 鈴次郎はいつか鈴の音が別の音に変わって丁半が分からなくなる。博打しか知らない鈴次郎は必死に負け続ける。
 100日間、男に触れさせなければ儚は人間になるという掟を守って鈴次郎と一緒になりたいが、逆に鈴次郎はそのために最後の賭に出る。
 儚はその資金の為に郭に身を売るが、実は金だけはとるが身体は提供しないので「させず太夫」と名付けられ、評判を聞いて何とかものにしようと、ついにはバカ殿まで来るが儚は大金を取っても退ける。
 終始それを見守ってきた赤鬼(=河本浩之)と青鬼(=宮下タケル)が二人を助ける。何とか大団円を迎えて盛大に花吹雪が舞散る。
 あまり問題意識のない、大人数の登場する絵巻風のおとぎ話だ。強いて言えば、純愛の勝利と言うか? しかしこの主人公に「儚」と名付けたのは所詮、現実味のない話だということを予告しているようでもある。

 スーパー歌舞伎の脚本を何本も書き、蜷川幸雄の舞台の本も何本か書いた横内謙介の戯曲だから期待したのにちょっと外れた。ここから何を掘り出せば良いのだろうか。