八月の鯨 

観劇日時/14.6.20.   13:30~15:35
劇団名/劇団 民芸   公演形態/旭川市民劇場 6月例会
作/デイヴィット・ベリー 訳・演出/丹野郁弓
装置/勝野英雄 照明/前田照夫 衣装/宮本宣子 効果/岩田直行
舞台監督/中島裕一郎
劇場名/旭川市公会堂

韜晦する最後の生き方

1954年頃のアメリカの避暑地にある資産家の別荘、長い間の世界戦争が終わって平和が来たけど、まだ世の中は混乱している。
そこに住む老年の姉妹(=姉・リビー/奈良岡朋子=妹・サラ/日色ともゑ)は、たぶん80歳前後、見た目は元気だが、もう目前には死しかなく、そのことは二人とも充分に承知している。この海岸には8月になると鯨が現れる。それを見るのが最大の楽しみなのだ。
当時の80歳といえばおそらく現在に換算すると90歳以上であろうか? 両親が幼くて亡くなった妹は、若くして夫も亡くした傷心の時に15年にも亘って心身ともに姉リビーの世話になった。そして現在は目が不自由になった姉の日常を親身になって世話をしている。
だが姉は死期を感じたのか、わがまま放題、だが妹はそれを振り切れない。そんなとき、幼なじみの友人テイシャ(=船坂博子)が、姉を施設に預けての新しい生活を示唆するが、踏み切れないサラ。亡命ロシアの貴族マラノフ(=篠田三郎)の華やかな過去の回顧に夢をみる妹サラ……疎外感に孤立する姉リビーは決意する。
豪壮な資産家の別荘を舞台に繰り広げられる会話劇。ほとんど動きのない退屈な展開。芝居がかった欧米人気取りの大げさな演技の嘘っぽい表現は眠気を誘う。
話の主題は僕にも切実だが余計なことを考えすぎだろうって思う。もっと積極的に最後に生きる時間は次の時間は考えるなって言いたい。ただし後片付けだけはキチンとしておきたい。それがゴールに近づいた僕の理想の生き方だ。出来るかどうかは分からないけど……