映画 雨あがる

鑑賞日時/14.5.18. 14:00~15:30
制作/東宝・2000年1月
原作/山本周五郎(新潮文庫)

脚本/黒澤明 監督/小泉堯 プロデューサー/原正人・黒澤久雄
鑑賞場所/アートホール東洲館

日本的情緒の優れた映画
「優しすぎることは、人を傷つけることもある」という、妻・たよ(=宮崎美子)を伴って諸国を放浪する浪人・三沢伊兵衛(=寺尾聰)は、剣豪でありながら優しすぎるために仕官が出来ない。だが、妻・たよはそんな夫・伊兵衛を心底から信頼しているのだ。
大雨で川越えが出来なくなった安宿で悶々と過ごす数日、伊兵衛は、その宿で庶民たちと親しくなった。
伊兵衛は、当地の藩主(=三船史郎)に腕を認められるが、宿の連中の為に賭け試合で勝ってご馳走したことが暴露して、せっかくの仕官がフイになる。
妻・たよは、むしろその方がすっきりとする。雨が上がった山中の街道を去る夫婦は峠からすっきりと晴れた眺めを満喫する。遥か彼方を、もう一度、指南番として召し抱えようと考え直した藩主が馬を飛ばしてやってくる。
予定調和の物語の安心感が強く、分かっていても、何度観ても、その心情の分かり易さと安心感と、御前試合などのエンターテインメントの面白さは尽きないのだ。
映画『雨あがる』は、山本周五郎の三部作の中の一作だとばかり思っていたが、調べたら、藤沢周平・原作、山田洋次・監督の三部作『たそがれ清兵衛』『武士の一分』『鬼の爪』の中の『たそがれ清兵衛』と勘違いしていたのだ。
何かそれほど、これらの作品は似ていたのだろうか? 良い意味で日本的と言うか……予定調和と了解しながら、途中で居眠りしてしまっても安心して居られる。良く出来た映画はやっぱり観てしまうのだ。