りんご

観劇日時/14.5.14. 20:00~21:20
劇団名/シアター・ラグ・203
上演形態/ウエンズディシアターVol.6 No340

作・演出・音響オペレーター/村松幹男 音楽/今井大蛇丸
照明オペレーター・宣伝美術/久保田さゆり
出演/山岸将大=平井伸之 女=瀬戸睦代
劇場名/ラグリグラ劇場

不滅の近代古典作品上演の、気になった数点を超えて~~

この古典とも言うべき演目は何度観ただろう。台詞を言えるほど何度も観ているのに、いつも新鮮で常に新しい発見があるし、それが近代古典としての存在価値なのであろう。特に今回は配役が新鮮だったので、その感が深い。だがというかだからこそというか、今回は気になった部分だけを些少だけれども記録しておきたいと思う。
今回の山岸役は実年齢が若いせいか、苦悩の連続襲来に対する怒りと焦りの対応が直接的で分かり易い。だけどもそれは裏返すと彼の心情が根深くなく表面的で薄っぺらでその場だけの直接的感情の暴発ともとられかねない。
ラストでりんごを齧る表情が曖昧な感じがする。苦渋なのか光明なのか、おそらくその二面性を表現するのだろうが、やはり曖昧な感じは否めない。
熱演だが、観客に熱演と感じさせる表現は逆に白けさせる。今回はその際どいライン上だと思われる。
女が白塗りで登場した。男の妄想の中の存在として面白い表現だと思う。
最初の発声で台詞の意味内容がはっきりとしない。意識的なボカシの発声なんだろうか? と一瞬、考えてしまう。
続いて台詞の、特に固有名詞が観客にはっきりと理解できない部分が多発する。基本的な発声訓練の不足なのだろうか?
だが、それらの部分的な瑕疵を超えて、そしてリアルな表現を超えて、すべての人たちに共通する逃れえない恐怖の尽きない、凄い舞台を創ったものだと相変わらず痺れて見惚れていた時間であった。