LONELY ACTOR PROJECT

観劇日時/14.5.3.   15:00~16:30
企画・制作/札幌演劇人育成委員会・演劇専用小劇場BLOCH 
公演回数/vol.20th 
プロデューサー/和田研一
劇場名/BLOCH

演目1  ヨバイボシ

脚本・演出・出演/森舞子

星空夜の公園、孤独なOLの独白。隕石の落下らしい衝撃で気絶すると、彼女は高校時代に戻っていて、やはり孤独な友人ノロマが転校することで心が繋がり元気を取り戻した過去を思い出してやる気を出す。
個人の心境や経歴を述懐するという一人芝居の第一パターンだが、偶然に拾って片手に持った人形と対話するという方法で視覚の魅力が出て来た。ただしこの人形は相手役じゃなく、自分と相手を仲介するという特殊な役柄である。だから劇のエキスである葛藤の表現とはならない。
昔を思い出して元気を取り戻すという単純な心境独白であろう。

演目2  生命1/3 

脚本・出演/渋木のぼる 演出/山田マサル

病院の向かいに立地して見舞客の需要が多いはずな果実店の、やる気のない若い店主。ほとんどが一人芝居の第一パターンで、心情の告白だが、見舞客の買う果物の種類によって症状を推測するという遊戯を考え出してから俄然、元気が出る。この部分は第3のパターンで一人二役、葛藤の芝居が進む。
だんだんと心臓に生える毛とは人間の弱いところを守る部分に生えるから自分の心臓は弱いと自己診断する。
心臓が無数に増殖して遂に入院、摘出手術をして元の何もない日常に戻る。ナンセンスな問答だが、そのナンセンスな演技力の切れ味が鋭い。

演目3  親方 

脚本/亀井健 演出/手代木啓史 出演/廣田彩

煮詰まった漫画家はすっかり土俵際。何とかしなければと、深夜に土俵際の相撲取りを演じる。それだけの話で、個人の心境を述べる典型的な第一のパターンだが、相撲をとるという動きを見せる第一パターンの(a)型である。

演目4  sweet sweet smile

脚本・演出/ツマサキ舞台 出演/野村大

笑顔の写真をたくさん記録したいと旅に出た男はアンドロイドだった。79年という長い旅から帰ったアンドロイドは写真の依頼主の人形である女主人に再会し報告するが、アンドロイドは女主人の元・夫がモデルだった。
善意の愛情の行き違いの話なのだろうが意味不明。だが野村大の端正な演技が印象的な舞台だった。

      ☆

ひとりぽっち」という主題歌でも推察される通り、主題はすべて孤独と言える。一人芝居だから「孤独」というのも安易な気がするが、自分自身の葛藤をナンセンス風味で持ち込んだ『生命1/3』の渋木のぼるが印象に残った。