演 目
十二の月の物語
観劇日時/13.12.20. 18:30〜19:10
劇団名/劇団 風の子 北海道
原作/サムイル・マルシャーク 台本/岸邨夫・中島茜 演出/鳴海輝雅
美術/有賀二郎・小峯三奈 音楽/菊池大成 音楽協力/みかみかん
衣装/小板橋恵 衣装協力/宮下美奈子 動物仮面/高田道雄 制作/植村直己
出演/木村智子・篠生明・坂本光司・菊地真央・宮田あさみ・矢島麻耶
劇場名/深川「みら・い」ステージ・オン・ステージ

立体的で動く絵本

 リアルな人間のドラマというよりも、物語を絵解きして見せる舞台、といってもそういう表現を否定するのじゃなくて、こういう舞台表現もあるんだなということなんだけれども……
マルシャークの古典的な名作『森は生きている』の原型であるスラブ民話を素直に劇化した物語である。
いつもの舞台の上に、この芝居を上演するためだけの舞台と客席を造る、いわゆる、ステージ・オン・ステージという方式の表現による親近感。特にすぐ近くで横に見える観客の子どもたちの無邪気で素直に受け入れる状況が丸見えなのが面白い。
この中で描写が不足だったのは、新しい母親と一緒に現れた主人公の姉の存在だ。ちょっと極端な人物描写で、おそらく人間のマイナスの心の底を象徴的に描いたのかもしれないがいささか抵抗がある。逆に幼少年期ではこれ位の直接的な行動もあるのかも知れない。ラストで妹と一緒に森へ出かけるのが在り来たりかも知れないが救われる。
12月という季節の中で大自然と動植物との共存、鹿や熊さへも食べる人間という本来の人間の生き方という視点が素直に納得させられる物語だった。
切り抜きを使った動物たちは一種の出遣い人形劇だが、この手法は人形である切り抜きの動物が形を表し、それを使う俳優がその動物の心情を表現すると言う、僕が考える二人一役の表現法で、出遣い人形劇はそういう豊かな表現力を持っていると思うのだ。
たくさんの森の大木たちの表現、それらが動いたり幹に分け入って寒さを避難する様子など動植物の表現が印象深い。