演 目
スケアクロウ
観劇日時/13.10.20. 18:00〜19:30
劇団名/劇工舎ルート
脚本/赤玉文太 演出/高田学 照明/豊島勉 音響/高橋可翔
制作/加藤亜紀・伊藤明美 宣伝美術/ナシノツブテ 舞台監督/島野浩一
劇場名/旭川・練庵

亡くなった父親の愛情

 「スケアクロウ」とは「痩せて貧相な人」という意味もあるけど「案山子」と言う意味が第一義の英単語。
新婚3年目の若妻・静香(=中村ミハル)が路上で案山子(=長谷宗作)と出会った。案山子は彼女の守り神であるという。そう言えば彼女には最近、身の回りに危険なアクシデントが頻発していることに思い当たった。
 神頼みの気持ちで案山子を連れ帰ると夫・幸太郎(=松下宏)も賛成してくれて自宅に置くことにする。
 彼女には信頼する後輩(=伊藤麻里絵)がいた。彼女は最近ちょっと遠ざかっている気配があったが、夫の出張の留守中に好きな日本酒それも最高級の純米酒を手みやげに突然訪ねてきて、静香と二人で痛飲する。
 真夜中、夜具を被って寝静まった静香の寝室に忍び込んだ後輩はいきなり妻にドスを突き立てる。
 だがそこに寝ていたのは案山子だった。物質である案山子に異常はない。
その状況を物陰から観ていた静香は仰天する。実は後輩は夫に恋情を抱き、妻を亡きものにしようとしたのだ。そのことは後輩の一方的な片思いで夫は当然ながら一切を知らない。
 静香の亡くなった父親は、死の寸前まで小さな紙人形を大事に握っていた。それが何だか分からなかったのだが、臨終のときに父は「我が娘・静香が幼い頃、病弱な父親のために、病気が早く良くなりますようにと書いた紙人形」だったという、忘れていた記憶を話してくれた。
 後輩を自首させるべく連れ去った案山子は確かに亡くなった父親であった。
 現実と幻想とを交錯させた一種のロマンチック・スリラー・コメディとも言うべき複雑な物語だが、前半の展開がちょっと勿体ぶった感じで長過ぎて退屈する。もっと喜劇的にトントンと進んだ方が導入されやすいかなと感じた。