演 目
イザナキとイザナミ
観劇日時/13.8.21 14:00〜15:00
劇団名/劇団千年王國
作・演出/橋口幸絵 作曲/福井岳郎 美術/杉吉貢 切り絵/KIRIGAMIST千陽
舞台装置/尾崎要 照明/秋野良太 音響/大江芳樹 衣装/矢野あい
衣装進行/徳村あらき 制作/劇団千年王國
劇場名/シアターZOO

現代に通じる夫婦の物語

 タイトルから古事記の物語であることは当然であろう。神の国から伊邪那岐命(イザナキ)と伊邪那美命(イザナミ)の二柱が、地上に遣わされて日本の国を創ったという歴史物語であり、この二人の神=初めての人間=日本人の最初の夫婦として生きてゆくのだが、それがいつの間にか、現代の夫婦の物語になっている。
 1時間のほとんどを榮田佳子が一人芝居のように演じ、福井岳郎がBGMを演奏し、時に応じてイザナキを演じる。
 最初は様式的な演技なのだが、いつの間にか現代夫婦の物語の雰囲気に変わってゆくのが面白い。若夫婦が協力して新しい家族を創っていく、その過程のお話と感じられる。
 その中で気になったのは、イザナミはたくさんの神様、つまり子孫を産み出したのだが、火の神を産んだ時のやけどが原因で亡くなって黄泉の国へ去ると言う一節だ。
 ギリシャ神話のパエトーンは太陽を操縦しようとして失敗し処刑されるが、イザナミは自らの意志ではないとは言え、火を産み出して亡くなるのは、パエトーンに似ている。そしてそれは人類史で見れば現代の原子力の被害者を象徴しているとも言える。
 の部分があっさりと通過したのがちょっと物足りなかったが、古事記の発端部分、つまり日本の成り立ちの挿話を現代感覚で展望し、しかもエネルギッシュに楽しませてくれたのだった。