演 目
キカヌクスリ
観劇日時/13.8.11. 18:00〜19:40
劇団名/イナダ組
作・演出/イナダ 照明/高橋正和 音響/奥山奈々 舞台制作/福田舞台
衣装/KEME・服部悦子 宣伝美術/野村たけし
制作/村山里美・小柳由美子・中村ひさえ・新浜円・駒野華代・稲村みゆき・奥島康
劇場名/コンカリーニョ

この舞台は「業の肯定」という落語である

 若い女性のふしだらな行状を遠慮なく暴いた一種の現代的風俗描写で、そのだらしなさは同情の一かけらもないほどだけど、考えてみると、それをダメな女だと一蹴する観客は果たしているのだろうかと問いかけられる。
 この女性の、優柔不断で無秩序な仕事のやり方も、男女関係の無節操さも面白可笑しく、これでもか、これでもかって畳み込んで描かれる。だがそれを全面否定できない観客は苦笑せざるを得ない。
 この劇団は社会の底辺に蠢く弱者、いわゆるマイノリテイの人たちを肯定的に描くのが得意だ。「落語は業の肯定」だと言った、立川談志の言葉がぴったりくるような気がする。
 「業」とは一般的には「悪業」と理解され、つまり業の肯定とは、人間が本来持って生まれたマイナス面を否定しないで笑って許そうという想いなのだろう。
 今日の舞台も考えてみれば、その心情が感じられてバカバカしい話だって思いながら大笑いして、他人ごとじゃないよなっていう励ましとも感じられる。
 以下に登場人物を列挙して、その大騒動ぶりをご想像に任せます。この面白さは実際に観なければ分からないのだ。
 フリーライター・吹野カナエ(=山村素絵)。2日酔いのカナエの眼が覚めたらベッドに一緒に寝ていた見知らぬ男(=武田晋)が居た。 
 カナエの恋人・内海誠(=城谷歩)、上司でカナエの元不倫の相手・鴨川慢太郎(=松橋勝巳)などなどが用にかこつけて次々に訪れる。
 カナエのいい加減な友人・立花みやこ(=松岡春奈)、担当の編集者・馬場さゆり(=吉田諒希)。カメラマン・山田雅史(=赤谷翔次郎)。カナエを慕う編集者・恒松常雄(=小倉佑介)。カナエの、これもふしだらな妹・カエデ(=阿部星来)なども頻繁に出入りして混乱を増す。
 その他大勢で、イナダ組スクール生=阿部樹子・天沼開・小川祥枝・河口真子・
千葉幸恵・佐々木志乃・佐藤朱美・澤田菜穂・上西佑樹・関屋奏斗・平井雄己
廣田彩・政所未穂