演 目
水の戯れ
観劇日時/13.6.22
劇団名/WATER33-39
上演形態/第5回 短編作品2本立て
作・演出/清水友陽
劇場名/ATTIC


演目1  昨日今日協議会 


時間/14:00〜14:50
出演/赤坂嘉謙・中塚有里・佐井川淳子

 一人住まいの部屋へ突然見知らぬ人が来て自分の部屋だと主張する。互いに譲らないが両方とも決定的な証拠がない。
 また別の人が来て、三つ巴となる。みんな訪ねて来る友人がいて、部屋の隅に置いてある大きな紙包みがその訪ねて来る友人の物だということで一致する。
 こわごわ開けてみると、何と一万円札が恐らく一億円ほど入っていた。
 3人はその金を担保に様々な賭を始める。保証のない気分だけの一億円。そしてその架空の金を当てにして、おっかなびっくりな賭けに熱中する三人……
これは正に、世界の経済という現象は実体がなく、賭のように株券という得体の知れない架空の紙片をやりとりして世界中をかき回していることのメタファーなのではないだろうか? 恐ろしい!


演目2  休暇 

出演/赤坂嘉謙・高石有紀・中塚有里・畑山洋子
時間/15:00〜15:40

 ベンチに座る懇意らしい女性が二人、一人が旅行招待の懸賞に当選したらしい。外れた友人に同行を誘うが、友人は休暇が取れないと断る。
 行き先は指定とフリーとがあって、これはフリーだったから行き先を巡って様々な推論を巡らす。
 そこへ友人の同僚が来て休憩時間が終わったから職場へ戻ろうと促す。だが、その同僚もその懸賞旅行に当選していた。また行き先を巡って推論がされる。
 そこへ著名なミュージシャンがお忍びで現れ、みんなは大騒ぎになる。
 この友人たちは回転すしの従業員だったが、客がこないので開店休業で、食材と食器を持ち込み、このベンチで営業を始める。
 ミュージシャンを含めてお祭り騒ぎが始まるが、最初の女性が物音を聞きつけ「今日も廃水を500トン海に流している」と言う。この海で採った魚を食材にしている、この寿司屋では客が来ないのは当然だった。
 4人は当てもなく期間も不明の旅行話で盛り上がり、大漁歌を歌って野外の寿司パーティに酔い痴れる。廃水の話が、ちょっと直接的に過ぎる。もう少し違う形で表現出来ないか? 害毒物と引き換えに麻薬のような享楽に溺れる人……
     ☆
 2作品とも短編で途中休憩10分を入れて1時間40分というちょうど良い尺、人物も3・4人、舞台装置も有り物、音響も単純、照明もほとんど地明かりだけで、現実の世界のメタファーを表現した密度の高い短編演劇であり、このような超ミニ劇場の模範のような軽妙で象徴的な舞台を創った。