演 目
サブウエイ
観劇日時/13.6.1. 14:00〜15:45
劇団名/極東退屈道場
上演形態/列島縦断延伸ツアー
作・演出/林慎一郎 振付/原和代 舞台監督/塚本修 舞台美術/柴田隆弘 照明/魚森理恵 音響/あなみふみ 衣装/大野知英 宣伝美術/清水俊洋 
舞台写真/石川隆三 web広報/石塚理絵 制作/尾崎雅久 
制作協力/佐藤紫穂
出演者/あらいらあ・門田草・後藤七重・ののあざみ・猿渡美穂・小笠原聡・中元志保・井尻智絵
劇場名/シアターZOO

「サブウエイ」とは三郎の道

 月曜日から7日間、順次に地下鉄の乗客一人一人の私生活を描き出す。様々な職業の男女の日常が描写されるのだが、それは必ずしも劇的な葛藤ではない。 
 噛み合わない会話だったり、上手く行かない焦慮だったり諦めだったり、つまり多くの庶民の人生の一端なのだ。
 それらの切り取られたシーンがドキュメント映画のカットのように次々と展開される。
 舞台は、黒幕を貼ったパネルが地下鉄の乗客席を切り離してボックス席のように設えられていて、同じ車両の同席する乗客同士の隔絶を象徴している。最初、開幕前の舞台を見たとき、普通の地下鉄車両の乗客席は窓を背にして向かい合って並んでいるはずなのに、この乗客席は特急列車のように前後をパネルで仕切られたような形になっていて違和感を覚えたのだが、考えてみると地下鉄の乗客の孤立感を表していると納得できる。
 男女8人の俳優が様々な個人の役を演じるのだが、全員が同じイメージの色合いの衣装なのだ。もちろんスーツから超ミニスカートまでスタイルは8人8様だが、薄ベージュのカラーだけが全員一緒なのは、これもこれらの人たちの没個性を表しているような気がする。
 地下鉄の乗客には故郷がないと言う。故郷を捨てたのか忘れたのか、でも祭りには共感する、それは故郷を求める人間の原点なのか。
 年末のNHK紅白歌合戦の北島三郎の『お祭り』に熱狂する地下鉄の乗客たち、だから「地下鉄のサブウエイとは三郎の道」だという珍説には心底笑った。納得のいく快い笑いだった。
 だが、この舞台は果たして劇と言えるのだろうか? 地下鉄を通してみた人々の哀感を切り取って人々の在りようを見せただけのような気がする。劇とは葛藤の経過だと思う僕の規範からは外れたが、この舞台は決して否定は出来ない。何か別の表現の様な強い印象を受けた。