演 目
彼岸花
観劇日時/13.3.28, 20:00〜21:00
劇団名/東京タンバリン
作・演出/高井浩子 照明/工藤雅弘 
宣伝美術/清水つゆこ
制作/一般社団法人ロゴス・東京タンバリン
当日運営/横山勝俊
主催/RealI's Production
劇場名/ターミナルプラザことにPATOS

見果てぬ抒情的夢幻劇

 カフエというか軽食喫茶店というか、パトスの平土間の空間に、客席とも舞台とも区別の判然としないテーブルと椅子との空間が作られている。観客もこのカフエの客として、このお芝居の展開に偶然に立ち会っている感じなのだ。
 このお店のマスター・フトシ(=森啓一郎)は、やがて話の展開に従って分かるのだが、母親が経営していたこの店を譲り受けたらしい。
 今日は、古くから交際のある友人の結婚式の二次会の企画相談で、昔のフトシが一緒に勉強していた演劇学校の同級生たちがここでその相談をするらしい。
 将来に不安を持ちながらも脳天気に誇大妄想的に演劇にしがみつかざるを得ない、もう若いとは言えないレイコ(=大田景子)と、未だに演劇に未練を残しながらも大企業の出世コースに乗りつつあるミスズ(=青海衣央里)が、閉店間際の深夜のフトシの店に集まっている。
 フトシは2年前、当時ストイックに演劇を目指して一人暮らしをしていたのだが、結婚する妹(=屋木志都子)の亡くなった父親代理で付き添い入場する予定だった。だがその妹カップルは挙式直前に交通事故で亡くなったのだ。 
 母と妹との3人家族のフトシには大きな衝撃だったが、現在のフトシは、その過去には関係なく今の生活を続け、妻は第一子を妊娠している。 
 そういう現実が3人の雑談の中で徐々に現れていくのだが、それらの展開の切っ掛けとなる要点の想い出の部分は、その3人が象徴的で過激なダンスで表現していく。
 終幕近く、亡き父親の代役で幽霊(?)の妹とバージンロードを歩くフトシは輝いて見えたのだったが……