演 目
クンドゥル韓国民族芸術団
観劇日時/13.3.24.
劇場名/深川市文化交流ホール「み・らい」

エネルギッシュなエンターテインメント

 
演目1 プンムルノリ  15:00〜15:30

 10数人の演奏者による4種類の打楽器と2種類の管楽器の演奏がダイナミックにエネルギッシュに演奏される。 
 獅子舞や皿回しなどのコミカルな出し物を絡めて楽しませるが、疲れを知らぬごとく延々と続いて、逆に観客が付いていけないほどのエネルギーだ。


 
演目2  パンソリ   15:30〜15:50

 歌手と太鼓演奏の二人だけのシンプルな舞台。韓国の民謡アリランほか、ソーラン節を日本語で観客と一緒に合唱するのだが、これも凄いエネルギー満開だ。


 
演目3 マダン劇  順風に帆をかけて   16:10〜17:10

 海辺の若い漁師が、恋する乙女とやっと結婚できたときに朝鮮は南北に分断されて二人は南と北に別れさせられる。
 それから60年後、老齢の夫は残された子供の夫婦と一緒に、離散家族と会える会に出ようと努力し、諦める寸前にやっと夫婦は涙の再会をする。
 悲劇ではあるが描き方は痛快なくらいに、はちゃめちゃでエネルギッシュなマンガ調であり、様々な現代寸描を交えて哄笑爆笑が絶えない。役者たちも巧者でありエンターテインメント満載の笑劇調で表現した悲劇とでもいえようか。
 例えば一番気になったのは、漁船に乗った二人が、その船が前後に切れて別れ別れになるとき、巨大な魔物が現れて船を切断するのだが、その魔物の頭に巻かれているのは、右半分が赤い縦縞で左半分は青い横縞の模様だ。アメリカの国旗を感じる。
 なぜこの悲劇が起きたのか、どうすれば統一の方法が考えられるのかというよりは、悲劇の現実と苦労の末にやっと再会できた過程を、これでもかこれでもかと延々とお涙頂戴で描いたに過ぎないように思われる。
 物語のナビゲーター役の男女はもちろん、北のガイドもほとんどが日本語だし、役者たちも要所要所は日本語だから話の筋は理解できるし、韓国語の台詞も雰囲気で分かるのだ。しかも北海道弁が頻出するので驚く。
 びっくりしたのは、ガイドが「朝鮮民主主義人民共和国」という日本語を、日本人でさえ早口ことばみたいに混乱する国名を淀みなく口にしたことだ。この技巧に徹した職人技に感嘆する。
           ☆
 全編を通じて、素直で猛烈なエネルギーに圧倒される。これが韓国の人たちの力強さだろうか。そういえば最初にソウルへ行ったときの第一印象は大阪に似ているなということだったが、逆に大阪が韓国に似ているのかもしれない。