演 目
少女仮面
観劇日時/13.01.14. 14.00〜15:30
劇団名/WATER 33-39
公演形態/じゃぱどら!!
作/唐十郎 演出/清水友陽 照明/清水洋和 舞台/ワタナベジュンイチ
衣装/高石有紀 ヘアメイク/佐野美樹 写真撮影/高橋克己 映像撮影/高田昌和 
制作/梶原芙美子・岩田智佳
劇場名/シアターZOO

それぞれの人物が象徴するメタファー

 狭いZOOの舞台をさらに狭く区切り、しかもその狭い舞台を50センチほども嵩上げしたことによって、表現しようとする世界がクローズアップされたような効果を挙げた。
 紅テントの唐十郎が拘ったのも、テントという独特の舞台で表現することで、新しい世界を際立たせる効果があったのではないのかと今さらにして思うのだ。
 物語は、第2次世界戦争を挟んだ戦前戦後の日本の昭和史を描いているように見えて、その激動の中で自分の存在に拘った春日野八千代という個性を際立たせ、彼女にまつわる周囲の状況を描いている。
 そしてそれはさらに、例えば貝と老婆、貝と春日野、春日野と甘粕大尉、腹話術師と人形、貝とボーイ、ボーイと春日野、水道の水飲み男とボーイ等々の人間関係が、時代の様々な関係を象徴的に現わしていることが感じられる。
 アングラという非現実的で荒唐無稽なリアル感の薄いロマンテイックな表現で、良く言えば幻想の世界を描いて、逆にそれらの人物たちの存在の真髄を、現実の世界を象徴的に強く印象付けたのだ。僕の考える近代古典の一つとして魅力的に現代化された舞台だった。
 出演者は、貝(少女)=中塚有里 老婆=畑山洋子 春日野八千代=佐井川淳子 
 腹話術師=明逸人 その人形=高石有紀 ボーイ主任=赤坂嘉謙 ボーイ1・看護婦=中川原しをりボーイ2・甘粕大尉=小林テルヲ 水道飲みの男=石川亨信