演 目
RUR
観劇日時/12.12.16. 14:00〜16:10
劇団名/演劇集団 砂地
作/カレル・チャペック 構成・演出/船岩祐太
美術/倉蔵 照明/和田東史子 音響/杉山碧
舞台監督/山下由 演出助手/浅井裕子
宣伝美術/コンドウダイスケ パンフレット撮影/守美樹
制作/河本三咲・法龍院悠 プロデューサー/小池陽子
劇場名/東京・上野・上野ストアハウス 

究極の人間とは?

 ロボットという造語を創ったのがこの作者のチャペックであるが、この作品では人造人間の究極のあり方を問うことによって逆に人間の存在意義を問いかけるような展開になっている。
 離島で6人の科学者が人間の全ての作業の代換えをする人造人間を創っている。見た目、触った感覚、的確な応答それらの全てが人間と何ら変わらないロボットが何億体と造られ様々な実験が行われている。
 そこへこの研究所の責任者の娘がロボットの人権について調査に来る。当然ながら道具としてのロボットに人権はない。 
 疑問視しながらも、やがて彼女は所長と共に此処で生活をすることになる。それから10年後……
 極度に脳が発達したロボットたちは逆に人間を征服し始める。そして最後に残った所長一人……
 ロボットは人間に変わったのか、人間に変わったロボットは次の世代の人間と成り得るのか?
 狭い舞台に僅かな実験道具などが置かれた所長室、所長のデスクには大型コンピューターのモニターが客席に向けられて真っ黒な画面に灰色の雲型の抽象模様がまるで人間の脳のレントゲン写真のようにも見えて、微妙に形を蠢かせて表現されているのが、何とも混沌としている人間の在り様を象徴しているのかもしれない。
 14人の俳優が人間とロボットに分かれて、壮烈な会話劇を時には暴力をも交えて展開するのだが、それは力いっぱいの演技が延々と続くためにかなり疲れるのだ。
 同じような展開の繰り返しだからもっと削れると思われるし、もっと親しみやすいエンターテインメントの要素がある方が訴える力も強いのにと思う。眠気をもたらさなかっただけ内容に力があったのだろうが、観終わって疲労困憊したのは事実であった。
 人間とロボットが混在して人間の本質のプラスとマイナスの両面を検証する一種の寓話劇であろうか。
出演者。井上裕朗・藤井咲有里・田中壮太郎・伊澤玲・酒井和哉・藤波瞬平・
藤尾姦太郎・小瀧万梨子・植浦菜保子・鈴木啓司・如月萌・中村梨那・
國松卓・八幡泰広