演 目
火盗人
観劇日時/12.111.21. 14:00〜15:40
劇団名/劇団 千年王國 
作・演出/橋口幸絵 作曲/福井岳郎・さとうしほ
演奏/福井岳郎・茂呂剛伸・澤口勝・上新卓也
舞台監督/佐々木祐也 照明/秋野良太 衣装/松下奈未
仮面制作(狼)/佐々木青 仮面デザイン(鳥)/Futaba
衣装進行/徳村あらき イラスト/相川みつぐ 宣伝美術/若林瑞沙
制作協力/乙川千夏・石上エリ・山崎美世・中村友紀・堀内まゆみ・佐藤紫穂・
三宅亜矢・寺崎智美・村井裕子・上田千晶
劇場名/シアターZOO

様式美に表現された神話

 神話とは何か? 長い人類の歴史の中で、現実に起こったある部分を抽出し要約して象徴的に描くことであろうか?
 この舞台を観ながらボンヤリとそんなことを考えていた。この舞台で描こうとしたある部分とは何か? それは当然、人間が火というエネルギィを手に入れた事実とその経過であろう。姉・マツヤニ(=堤沙織)、妹・ヒナギク(=榮田佳子)。
 舞台は本火を使って絢爛豪華にいささかスリリングに展開される。火の神から火を受け取るというか、寒さを防ぐために強引に火を奪い取るシーンは、女優3人を含めたそのダンスが象徴するようにエネルギッシュで圧巻だ。
 これは物語というより、人類が経験した歴史の必然性の検証のような気がする。そういう意味ではこれは演劇というよりも人類史の絵巻物のような感じが強い。
 この歴史の検証というのは、この舞台に限らず表現という作業の大事な仕事の一つなのだと思う。それを素直に考えて舞台化し、そしてエンターテインメントとして魅せた力は凄いの一言に尽きる。
 特に世界各地の民族音楽楽器を使ったライブ演奏の音楽陣、火守鳥を演じたダンサー(=鈴木明倫)、狼の父(=櫻井ひろ)の力演、この人たちの表現が、この様式美の強いこの舞台の魅力を支えていたと思われる。
 孤独に泣く姉の声が、閉じこもる洞窟の中で木霊する音響効果は、どの様に作られていたのだろうか?
 狼の母とその他の諸役=村上水緒。