演 目
The Dream Diver
観劇日時/12.11.18. 16:00〜18:00
劇団名/アトリエ
公演回数/第6回フイクション作品2
作・演出/小佐部明広 舞台監督/坂内泰輔
舞台監督補佐/亀岡優人 舞台デザイン/大竹里奈
舞台協力/上田知 舞台製作/米澤春花・勝見慧
照明/増田好乃美 音響/天谷祐介 衣装/佐藤紫穂 小道具/宗一郎
身体訓練/福井佑梨 宣伝美術イラスト/宮本柚貴
宣伝美術製作/野華奈江 受付/小池瑠莉 制作/佐藤紫穂 制作補佐/喜多満里奈
劇場名/琴似・パトス

三つの世界の錯綜が判りにくい

 現実の世界の医者・マリア(=柴田知佳)は患者の夢の中に入って治療するという特殊な技能の持ち主だ。同僚の医師カザマ(=田村貴大)は、その手法の倫理性に疑問を持つ。恋人のケント(=井上嵩之)は流星落下の被害者として一瞬の差でマリアを残して逝く。
 彼女の傷心を知った神の一人・マーズ(=小山佳祐)は、何とかケントを蘇生させようと奔走する。実は二千年前にマーズはマリアの子キリストで、母マリアの元気を復活させようとしていたのだ。
 現実の世界での父(=望月凜太郎)と母(=江崎未来)の娘・せりな(=笠井成美)は幼いころに亡くなっている。妹ゆりな(=中野遥)は姉の想い出がほとんどない。父母が姉だけを溺愛したおぞましい記憶が鮮明だ。この確執と父母の離婚騒動。
 神の王・プラネテス(=伊達昌俊)と、神のジュピター(=りよっぺ)、ヴィーナス(=福井佑梨)、マーキュリー(=有田哲)たちの抗争。そして王のいう「神は人間を助けることは出来ない。人間は自分たちで生き方を進めるだけだ」という言葉は一種の人生哲学だが、全体に現実・夢の世界・神の存在と3つに分かれて錯綜し、しかも理屈だけが先行して、舞台としての、演劇としての魅力が薄い。
 この舞台は Lyrical Bulletの『 NO.721 』と発想が似ているような気がする。現実に対する閉塞感を架空世界への妄想に飛ばすのだが、それが非常に観念的であることだ。
 神話を意識したのかも知れないが、神話としての象徴性と現実の物語との接点がギクシャクとして演劇としては理屈が先行して疲れるばかりだ。