演 目
CRY WOLF!
観劇日時/12.11.9. 19:00〜20:25
劇団名/パーソンズ    
公演回数/第4回
脚本・演出/畠山由貴 音響/山崎耕太 照明/鳥海剛
企画・製作/劇団パーソンズ
劇場名/琴似 PATOS

女の執念

 ミステリーィっぽい物語。純情な女性が思いを寄せた男に悪意ではなく、単に男に婚約者がいたという理由で振られるのだが、心に傷を負った女性が自分にそっくりな妹にその切ない感情を打ち明けた結果、妹はその男に復讐を企てる。
 ある大学のサークルが舞台で、それは「噂を取材してフリーペーパーを発行する」という際物出版サークルだ。
 失恋女性はそのサークルの創設者だったのだが、顧問教授への失恋で意欲を失くして廃部になり、彼女はそのため中退したが、今は後輩たちが活発に活動している。
そこへ乗り込んだその女性の妹・和花(=佐藤愛梨)は、その部の顧問となっている教授(=上西佑樹)に迫り、徐々にその謎解きが始まる。
 冷静で常識があり決断力もある部長(=工藤舞子)以外は、その顧問教授はゲイだったり、卒業しても入り浸る先輩(=湊谷優)が落ちこぼれで惚れっぽいダメ男だったり、極端な霊媒者(=阿部星来)である学生部員、そしてこれも落ちこぼれの成績不良女子大生(=能登屋南奈)部員だったり、人物たちの性格表現が極端で嘘っぽいとも言えるが、演劇とは、そういう極端表現が象徴的に表すとも言え、その度合いが微妙だ。
 この真実を知ろうと乗り込んだ妹・和花が、好奇心旺盛な少女である一方、敵と目指す教授に迫る時の鬼気迫る迫力とのギャップは凄まじく、さらに過去追憶のシーンで仇と目指す教授を相手に切ない純情な過去の姉をも演じるという三様の女を演じ分ける演劇の魅力を充満していた。
実はこの妹は、妹を装った姉自身だったというオチが付くのだが、これは余計な付けたしだった。しかし佐藤愛梨は演技賞に値する女優だと思われる。