演 目
蝶、跳ぶ
観劇日時/12.11.07. 14:00〜15:25
劇団名/十年後(韓国・韓国仁川市 プピョンアートセンターフランチャイズ劇団)
公演形態/ 札幌劇場祭2012参加
作/コ・ドンヒ 演出/ソン・ヨンイル
舞台監督/キム・ジョンス 照明監督/パク・ジンス
翻訳・字幕/木村典子 制作/北海道演劇財団
劇場名/シアターZOO

人情喜劇風の寓話劇

 下町の貧民街、貧しい暮らしで一々些細な諍いをしながらも基本的には助け合って日々を送っている。この辺のシチュエーション設定は、劇団「イナダ組」の劇作家・イナダ氏が描く庶民の日常生活に共通するところがある。
 再開発の国家プロジェクトでこの街一帯が立ち退きを通告される。反対運動の先頭に立ったボンパク(=コン・ミンギュ)が公務執行妨害で刑務所行きとなる。
 ただ一人残った身内の妹・ソニ(=イ・エラ)は若い美人なのに精神発達障害者で満足な生活が出来ないが、町内の人たちが面倒をみている。中でも役所の福祉主任クアク(ファン・テホ)は親身である。
 やがて彼女は事あるごとに吐き気を訴える。周りの者は相手を詮索して、かの福祉主任がお為ごかしに陵辱したのではないかと囁き合う。
 やがて刑期を終えた兄・ボンパクが帰って来るのだが、一同は兄の報復を恐れる。だが真相は、ソニが腹の病気だったのを主任が面倒みて入院させていたのだった。万事解決した時に再会した兄妹は感涙にくれる。
そのとき子供が欲しかった若夫婦(夫=ソ・ジフンと妻=パク・ソルヒ)の妻が、つわりの今度は正真正銘の吐き気を催す。そのときソニは蝶が飛び立つのを見つける。一同の飛躍の象徴か……これは下町の人情劇であると同時に、国家体制と庶民との関係を具体的に表現した社会劇でもある。
他に家主=クォン・ヘヨン、マダム=ファン・ミソン、怪しい霊能者でパク・ジュヨンが出演する。