演 目
パレパーレ星の新しい生き物
観劇日時/12.11.6. 16:00〜17:30
劇団名/ハムプロジェクト★東京の人と旅公演2012
作・演出/すがの公 スタッフ/発表されてないので不明
劇場名/居酒屋・すわ

夢多い少年の新しい命

 8歳の少年・パレパーレ(=天野ジロ)は絵の好きな男の子だが、病院に入院していて、そこで88歳の老人・ペルペルペ(=彦素由幸)と出会う。
 二人は協力して絵本を創ろうとしている。だがペルペルペは80冊も溜まった毎年欠かさず書いている日記帳の、少年の強い関心を持った部分を引きちぎって食べてしまう。
 疑問に思う少年に、ペルペルペは過去の記憶は自分にとって価値の無いものだと言う。
 売れない画家だった少年の父親(=後藤克樹)は、軍人になって人を殺すことを職業としている。母親(=飛世早哉香)はそんな男と別れて今はこの病院で看護師をしているのだが、この両親はまだ互いに愛情を持っているらしい。
 ペルペルペと少年との関係は、互いにそれぞれの裏側の心情が表れて葛藤が激しいが、求めるところは似ているのだ。
 ペルペルペの臨終が近づく。少年は中々それを受け入れられない。だがラストでは宇宙船をイメージする航空機に乗って二人は新しい世界へと旅立つ。パレパーレもペルペルペも、きっと再生するのだろう。
 この航空機はテーブルや壁の絵画を外して組み立てる模型のような物だが、夢いっぱいの素敵な箱だ。
 狭い居酒屋の、舞台とも言えない極小空間で観客も僕を含めてたったの5人、劇団関係者が5人というスーパーミニ公演だが、大劇場をも凌ぐ素敵な舞台を創った。
 ただ脇筋が複雑な為に、物語がとっ散らかって感情移入しにくいのが気になった。
 その他に医師やいろいろな役で大澤恵衣が出演するのだが、札幌5日間その他全国での巡演では、今日の出演者も含めて、総計23人が複数のレパートリィを、さまざまなメンバーの組合わせで上演する賑やかな企画のようだ。