演 目
仮面と人形による舞台
劇団名/プロジェクト☆ライオン
観劇日時/12.11.03. 19:00〜20:20
劇場名/人形劇場こぐま座

子どもにも判る大人の人形劇が二つ

 
演目1 一人芝居  とてとてたった

作・演出/草間聡 美術/泉山桂子

 両方の手の平を力強くそして繊細に動かして、しかも右手は次々と衣装を変化させて、様々な人間関係の微妙な移ろいを表現する。
 この、手が表す人間は見た眼は単純なのに、逆に人間関係の複雑さを象徴的に抵抗感なく感じさせられることに驚嘆する。5本の指を含む手首から先だけで人間の心の動きを表現した繊細な人形劇といえよう。



 
演目2 一人芝居  オオキナタマゴ 

原作/カレル・チャペック 脚色・美術・音響プラン/泉山桂子 演出/ひろもと
通訳/笠島麻衣(松井註・台詞の解説風ナレーション)

 怪異な民間伝承を舞台化した。大昔、鳥は空を飛べなかった。あるとき突然、巨大なタマゴが降ってくる。
 鳥たちはそれが何か分からない。さんざんオモチャにした挙げ句に、たまたま突いていると突然そのタマゴが割れて中から人間が生まれる。
 人間には羽があって、どこかへ跳び去る。割れたタマゴに驚いていた鳥たちも順番に空へ飛び立つ。
一体これは何のメタファーなのか? 単純に考えるとイノセンスな心が突然に前代未聞の物に出会って、無邪気だからこそ試行錯誤することによって、そこから進歩が始まるということなのか? チャペックらしいと言うべきなのか?
しかも、その一種の好奇心は、利害関係や物質的な欲望が無く冒険心に充ちていると感じるのは、僕の単なる牽強付会でしかないんだろうか?



 
演目3 仮面劇  The Dragons

作・演出・音響プラン/ひろもと 美術・衣装/泉山桂子
音響効果/西脇秀之 音響オペ/土橋あい 
照明プラン/池内潤樹 照明オペ/細川彰則

怪奇な仮面で表現する人間の心の裏表

公園のベンチ。怪奇なドラゴンの人形を売る老人(=渡辺浩基)、何とか誤魔化して、それを手に入れようとする男(=草間聡)。
 場面が変わると、女(=池内潤樹)がベンチで読書している。一目惚れした男はちょっかいを出すが女は振り向きもせず男を蹴散らす。
 男はさっきの人形を売る老人を捜し出し、騙してその人形を安く買い求め人形の力を借りて女に言い寄ろうとする。
 そういう経緯を、仮面を附けた役者が仮面パントマイムとでもいうような表現で演じる。
欲望や愛憎などの人間関係を、様式的ともいえる仮面劇で象徴的に面白く表現する。