演 目
海流座 公演
演目1  二十二夜待ち

観劇日時/12.10.19. 19:00〜19:35
劇団名/海流座
作/木下順二 演出/米倉斉加年
音楽/田村洋 音響効果/岩田直行 照明/松島勉
衣装/金子正子 美術/加乃 装置/内田喜三男 
演出助手/尾鼻隆・上野日呂登 制作/釘崎康治
劇場名/滝川市 たきかわ文化センター・大ホール
第二回目 観劇日時/12.10.21. 14:00〜15:30
劇場名/シアターZOO
出演者/米倉斉加年  以下の配役は役名の記載が無いので分かりません。
尾鼻隆・助川汎・山梨光國・上野日呂登・貞永淳・府川文吾・ブラコ・三平・溝口貴子・青山恵子・若杉民  その他、公演地の皆さん

性悪人も本質は善人だった

 今で言えば「老人クラブ」のような感じだろうか? 二十二夜待ちというのは、関東地方にみられる信仰的な伝承行事である。毎月一回、お寺に老人たちを中心に集まって読経をし、その後に飲食と団欒を楽しむ一夜だ。
 老婆が祖母孝行の孫息子・藤六に背負われて、この二十二夜待ちにやってくるのだが藤六は仕事が残っているので後で迎えに来る約束をして帰っていく。
 皆は歓迎するのだが宴もたけなわの頃、ならず者・虎狼の熊が現れて恐れた一同は、ひっそりと退散する。
 そこへ藤六が婆さまを迎えに来るのだが、虎狼の熊は傍若無人に藤六をこき使い酒の相手をさせようとする。
 藤六は適当に相手をしながら眠がる婆さまに布団を敷いて寝かせ、自分も添い寝する。夜中に婆さまは川の音が気になって仕方がない。その度に藤六は何度も何度も川を見に行く。
 その都度、起こされて初めは怒っていた虎狼の熊だが、夜が明けると婆さまと藤六を見ていて、すっかり里心がついた虎狼の熊は張り切って母の待つ故郷へと旅立つ。
 象徴的童話劇で近代劇からみると、かなりかったるいのだが、性善説でほんのりと暖かい。
楽しい集まりの場面で、地元のボランテァ出演者を取り込んで地元に溶け込もうとする方法論を評価する。札幌では地元の中高年のアマチュアが素直に演じていたのだが、滝川ではほとんどが高校生だった。老人たちを演じた高校生が、どっちつかずの中途半端で高校生そのものにも見えたたりして違和感が強い。若い人たちが、このような形で演劇に参加したのは貴重な体験かもしれないとは思うのだが……
 この場面は、素直にこの高校生たちに老人を演じてもらうか、逆に高校生たち若者が現実そのままに、この場面に登場するとしたら、どういう風に彼らは存在するのかという演出だったら、きっと新しい面白いシーンが創れたのかもしれないだろうなと思って観ていた。