演 目
自称探偵のサマー・オブ・ラブ
観劇日時/12.9.22 18:00〜19:40
劇団名/空飛ぶ猫☆魂
公演回数/#1
脚本・演出/西永貴文 音楽/岡崎保憲 照明/山本ゆか
舞台監督/立川圭吾 制作/小畑幸英
劇場名/シアターZOO

単純な娯楽喜劇

 マリアが海に投身自殺した、とみられてから自殺か他殺かもわからず、遺体も上がらず動機も加害者も判らないまま49日が過ぎた。
 彼女の義兄(=宮崎陽介)は、遺品の携帯電話から判断して、マリアが最後にメールを送った相手の4人を招いて追悼の催しをする。
 彼ら4人は何らかの形で、というか、そもそも4人の全員が元・彼だったのだ。だが、マリアは本当に彼らの恋人だったのか?
 集まったメンバーの中の自称探偵(=佐々木光弘)が、高校の後輩(=粟島瑞丸)を助手に使って、義兄と自分を含めたこの5人の内の誰かが彼女を殺したのではないのかと推理をする。全員(義兄と後輩の他に=西興一朗・岸潤一郎)に動機はあるがアリバイはなく決定的な証拠もない。
 そういう経過をかなり現実的にリアルに展開する。だがシーンシーンに、ぶっ飛んだ非現実的なキャラクターの転換が何度も表れる。
 例えば、対立関係にある二人の立場が逆転すると、いきなり常識では考えられないような態度の逆転が出現するのだが、それは多分ギャグの範囲だろうと思えて不思議に不自然さを感じない。全体がリアルなので違和感がないのだ。
 結局、この事件は宇宙人が絡んだマリアの現実拒否の物語で終結する。そのことを告げに使者(日替わりゲストで今日の出演は小山メグミ)が来る。この場面がお遊びでバカバカしいが面白い。全体にヘェーって思いながら何となく納得してしまう演技者たちの存在感がある。要するに、自分勝手な人間たちの引き起こす喜劇なんだろうが、よく考えてみると表面的なだけで内面が見えないのだ。