演 目
明日、悲別で
観劇日時/12.7.3. 19:30〜21:25
劇団名/富良野 GROUP
上演形態/2012夏
作・演出/倉本聰 演出補/平木久子 演出助手/城田美樹
音楽/倉田信雄 劇中歌/神山慶子 美術/横島憲夫
舞台監督/小林彰夫 技術監督/九澤靖彦 
照明チーフ/廣瀬利勝 音響チーフ/三浦淳一
記録/松木直俊 ダンス指導/木下弘美 
メイクアップ/荒丈志・前田みのる
制作/寺岡宜芳・太田竜介・谷山一也・藤田美緒・政野美知代・小野坂貴志
劇場名/富良野演劇工場

重厚でエネルギッシュな様式美

 20年前に閉山した悲別炭鉱。散逸した鉱員たちは、2011年の大晦日に、当時の約束によって地下30メートルに先人が埋めたと言われる「希望」を封印したタイムカプセルを探しに集まる。一方、悲別町・町議の江口(=熊耳慶)は原発廃棄物を地下千メートルに閉じ込める案を推進する。
 その相克を巡って、街の人たちと原発労働者になったかつての若い鉱員たちの悲劇が繰り広げられる。
物語は典型的な勧善懲悪の展開であり、石炭から石油、そして原子力に向かったエネルギー変換に対する国策の無節操を徹底的に批判する。これを前面に出されると少々白ける。
だが驚嘆すべきはその表現方法だ。多数の登場人物のダンスのようなエネルギッシュな群衆演技、そしてスローモーションによる湧き出すような力強い演出だ。
 特に語り部の老婆(=森上千絵)は、実年齢は若いはずなのに典型的な老婆のメークと演技により正しく老婆を現出させながら明瞭な台詞は明確に満場を圧する。
 ラストは真っ黒に汚れた若い裸の鉱夫たちの幽霊が、舞台奥から霧の中を湧き出てくるのは、それを観るだけで胸に込み上げるものがある。
 その他、当日パンフに連名された登場人物は45名である。