番外 随想 「悲劇と喜劇」



 井上ひさし氏は、「悲劇の定義は、人間より巨大な運命や神の意志というものがあって高貴な人間がその運命や神の意志に向かって戦う。敗れるのは分かっていながらそこを貫こうとすることで人間の凄さが出てくるとするのが一般的です。喜劇はそれとセットになっていて、主人公はだいたい普通の人間です。普通の人間でも知恵や機知の力でたいていの局面は打開できる。しかも『人生は一瞬だよ』というところに視点をおく」(出典不明)と書いている。
 演出家の木村快氏は、「tragedyは『運命劇』、comedyを『風刺劇』」と規定している。(いずれも01年11月24日劇場づくりワークショップ講演より「風化」第129号所載)
 似たような考え方だけど、「悲劇」と「喜劇」というものの本質を語っているようだ。