演 目
さよならをもしもで隠して
観劇日時/12.3.10. 18:30〜20:00
劇団名/F,A-muse(高校生劇団)
脚本/川幡香奈 演出/川井里保
音響/深津好絵・助安正樹 照明/池田憲昭・山内愼介
舞台/菊池清大・竹内啓祥・谷岡里菜・藤原麻紀・水谷千春・村中結衣・中野愛結美・片山亜美
劇場名/深川市文化交流ホール み☆らい

青くて硬い高校生演劇の魅力

 高校生活もあと僅か、仲良しと思っている5人のグループ、その中の特に二人の女の子の確執の物語。
 気がつくと、5人は「もしもの世界」で目が覚める。自分たちの高校生生活は何だったのか? 自分たちはこれからどうなるのか? そういう一種の討論劇が始まる。
 「もしもの世界(If Word)」というのは彼らが読んでいた寓話小説であり、最初に一人の登場人物が、その物語の内容を解説するので実際に存在するのかと思ったら、実は作者のフイクションだったが、その辺に彼らの気負った一種の清々しい感性を感じる。
 脚本の着想は良いし、演技もリアルで台詞もはっきりとしているので、その点では申し分ないのだが、いかんせん全体のテンポが緩すぎるのと、暗転が多すぎて話がブツ切れになるのが最大の欠陥だ。
 ラストに近く「こんな時代に産まれてきて……」という台詞があった。これはフト出た言葉かもしれないが、とても大事で、もしかしてこの舞台のキィワードになったかもしれない。それを一言で終わってしまったのはとても残念だった。
 途中で話の大枠が見えてきたのに、同じことを延々とやるのは退屈する。それに延々とやっている割には説明不足で分かりずらいのだ。
台本を整理して演出のテンポの見直しをした上での再演が望まれる。
最近の高校演劇には珍しい正統派の舞台を観た気がして懐かしく清々しく思われたのだった。
 出演、長谷川侑治・川井里保・川幡香奈・清水優斗・家納亜美・高橋葵・神尾里美・島瑞葵