演 目
雲から来た子
観劇日時/12.3.10. 14:30〜15:30
劇団名/人形劇団・チーム鎌足
スタッフ名/不記載だが多分チームの共同制作だと思われる。
メンバー/中村奈保・三ツ井志帆・岩淵いずみ・鷲見沙織・佐藤加奈
上演形態/深川おやこ劇場 特別企画
劇場名/深川市生きがい文化センター

僕の故郷のような原点の人形劇

 ずいぶんと懐かしい風景だ。文化センターの一室、間口2メートルほどで高さが70〜80センチほどの舞台空間に、片手遣いの素朴だが手の込んだ愛らしい人形が登場する。
 やってることは他愛のないナンセンスドタバタ劇だが、手慣れた演技とテンポの良さと発声の確かさとで、小さな子供たちが笑い転げる。
 この舞台には、いわゆる一文字幕がなく背景のホリゾントも上部と左右の両端が途切れていて、最初は気になったが、だんだん感じなくなってくる。
 2番目の演目は、切り抜き人形のこれもやはりドタバタ劇、二つとも友情とか勇気とかのメッセージはあるんだろうが、そんなことはお構いなしにひたすらぶっ飛び、集まった小学低学年生らしい子供たちの観客を惹きつける。
 途中にお姉さんが出てきて、唱歌に合わせた簡単な手遊びを教える。基本的に子供は単純で素直だ。大喜びで一緒に遊んでいる。
 最後がメインの『雲から来た子』。泣き虫の女の子が、やはり自信喪失で泣いている雷の子と知り合い、知恵と勇気で前進するお話。雲に乗ったり虹に乗ったり、父親の大きな鬼が出たり、川を渡り火の樹を防いだり、手の込んだ演出で楽しませる。
 僕は学生時代の約3年間、こういう人形劇と同じようなプログラム構成の巡回上演をやってきた。そして卒業後、深川へ戻ってからも約10年、同じようなことをやってきた。最近の人形劇は大型化して照明・音響なども本格的だが、久しぶりに原点の故郷へ戻ったような人形劇を観たような気がした。
 ただ設備や演出など、細かな点ではずいぶん進化したなあという感慨も深いのだった。