演 目
それじゃバイバイ
観劇日時/12.2.18. 14:00〜15:40
劇団名/亞魂
作・演出/忠海勇 照明/長流3平 音響/松井千恵
舞台/濱道俊介 制作/3ペェ団札幌
宣伝美術/温水沙知
劇場名/札幌琴似 レッドベリースタジオ

父から息子へ、息子から孫へ

 18歳のとき父とのちょっとした確執の為に家を出た隆之(=楽太郎)。それから15年、その実家の父が死んだ。そして隆之は、古い実家を整理して母(=山田点)を我が家に迎える準備ために、妻・祐子(=尾木志都子)、息子・真之(=小林健輔)と共に実家に滞在する。
 そこで隆之は、かつて18歳でこの家を出るまでの、父との様々な葛藤を思い出す。
 それは現在の隆之、真之、母、と過去のタカユキ(=長岡登美子)や過去の母(=二役)、もちろん真之は存在しないのだが……それらの過去と現在とがワンカットごとに交互で現れる。
 話は単純で、理解し合えない父と息子、互いに突っ張って中途半端で突き放すから最後まで理解し合えない。そして後で後悔する。
 お互いに不器用でお互いに思い合いながら、肝心のところですれ違う肉親同士の哀しい存在……それが分かった時にはもう相手はこの世に居ないのだ。
 最初、過去と現在とが錯綜する舞台が混乱して理解不可能に引きずられそうになるが、きちんとして無駄のない話の運びに引き込まれる。こういう話はえてしてムダで意味のないエピソードが多い場合がよくあるのだが、この舞台にはそういう違和感のあるシーンがほとんどないのが良い。
 真之が、おそらく10歳前後の子役(=小林健輔)なのに、相手をする隆之の子ども時代(=長岡登美子)が大人の俳優なので、いちいち翻訳しながら観なければならず、かなり疲れる。
 父と子は永久に錯綜する存在なのかもしれない、という悲劇が哀しい歴史として受け継がれる典型的な物語なのだが、時代を錯綜させる表現方法が斬新なために新しい感懐が生まれた。ただ分かりずらさに工夫が欲しかった。
 隆之の歳の離れた妹=小川征子、死んだ父=忠海勇 不動産屋=セガワケイ