演 目
新しい友達
観劇日時/12.2.13. 17:00〜18:40
劇団名/演劇公社ライトマン
公演回数/第9回
作・演出/重堂元樹 衣装/宮田碧 照明/前田ゆりか
音響/山田賢司 
制作/演劇公社ライトマン 五十嵐レミ
劇場名/演劇専用劇場 BLOCH

SF版の古くさい人情喜劇

 田舎の宇宙科学研究所では退屈な隕石の軌道計算を行っている。所長(=重堂元樹)以下、田中一郎(=フレンチ)、門脇ようすけ(=中村痲載・Wで谷村卓郎)たち3名、やる気があるのか、ないのか存在の意味不明とも思える研究所だ。
 そのころそこでは不時着した奇妙な宇宙人・マイケル(=田村嘉規)が保護されている。宇宙人といっても、100年以上も昔日本に流れ着いた欧米人が青鬼に見えたように、真っ青な顔だが地球人と形も心も変わりはない普通の男だ。
 そんなとき、中央から新任の女子研究員・西園寺えりか(=曽我夕子・Wで脇田唯)が赴任してくる。
 宇宙人を故郷の星に返すべく、地球への帰還不能な片道切符のロケットが出来上がる。その研究成果を利用すべく研究員・田中の実家・田中重工の重役である姉(=青木玖璃子)と弟(=深浦佑太)の経済的に莫大な援助と、田中重工のロケット工学の技術者(=張端一)の全面的協力があった。
 マイケルの帰還にあたって、ちょうどそのとき発見された地球を滅亡させかねない巨大隕石が発見される。そのロケットは帰還の軌道でその隕石を爆破させることが出来る。
 そこで宇宙人マイケルは、その仕事と引き替えに、新任研究員・えりかに求婚し同行を求めたが彼女は拒否する。
 それぞれがそれぞれの欲望と自己犠牲と地球を救う使命との狭間で揺れ動く。
 最後にはえりかの自己犠牲の覚悟と、その意に感じたマイケル、星へ行って帰りのロケット開発を覚悟した田中と自分の帰還ロケットを開発してくれた恩義にえりかを諦めるマイケルたちの義理人情劇がめでたく終焉する。
 まさに絵に描いたような義理人情劇が、SFの形を借りて展開するのだが、その表現も50年先の未来を示唆するような雰囲気はあまり感じさせるようなこともなく、そこいら辺にある現実の鄙びた貧しい研究所なのだった。
 所長の妻・長麻美と、アイドルとして近所の肉屋さんの看板娘で斉藤詩帆の出演も典型的な人情喜劇。