映 画
そして私たちは愛に帰る
観劇日時/12.2.10. 18:30 20:30
監督・脚本/ファティ・アキン 字幕/寺尾次郎 プロデューサー/アンドレアス・ティール他5名
撮影/ライナー・クラウスマン 音楽/シャンテル
鑑賞場所/深川市 アートホール東洲館

「愛に帰った」のか、巡り戻って循環するのか

 トルコに住む3組の親子、年金生活の老父・アリ(=トゥンジェル・クルテイズ)はスケベ親父で娼婦イェテル(=ヌルセル・キョセ)に入れあげてついに自宅で家政婦兼夜の相手役として雇用する。その一人息子ネジャット(=バーキ・ダヴラグ)はドイツの大学で退屈な文学史の教授だ。
 帰宅した息子と雇った娼婦とのあらぬ疑惑に嫉妬した父アリは女イェテルを殴り殺す。女にはドイツで一人暮らしの娘アイテン(=ヌルギェル・イェシルチャイ)が居た。娘には靴屋の店員だと偽り送金して育てていた。
 そのことを知った教授ネジャットは、母の殺された娘アイテンを探そうとしてドイツのトルコ語専門の本屋の権利を買ってその店主となる。
 一方、その娘アイテンは、反体制の非合法活動に参加して追われる身だった。偶然に会った学友のロッテ(=パトリシァ・ジオクロースカ)と同性愛に陥る。
 ロッテの母スザンヌ(=ハンナ・シグラ)は裕福で、アイテンを同居させる。ロッテはスザンヌの反対を押し切り、逮捕されたアイテンの救出に向かうが、途中でネジャットと互いの関係を知らずに知り合う。
 アイテンに面会したロッテは秘密の依頼を受け、それで手に入れた拳銃を子供たちに奪われ、いたずらで狙撃されて死ぬ。母スザンヌは娘の死の地を訪れアイテンの謝罪を受け入れる。
 ネジャットは出所するアリを迎えに港を訪れる。3組の親子のうち一人の母と別の娘が不慮の死に遭うのだが、残った者たちは互いの関係を知らずに愛を感じる。だが果たして本当にそうなのか?
 冒頭シーンとラストのシーンは全く同じで、同じ悲劇は繰り返す象徴のようでもあるのだが、2人の死はとても不自然だし、ネジャットが教授を辞めるのも非常識で不自然さを感じる。