演 目
ハムレット
観劇日時/ 12.1.7. 14:00〜15:55
劇団名/東京乾電池
公演形態/35周年記念第3弾
原作/シエークスピア 翻訳/福田恒存
演出/柄本明 照明/日高勝彦 音響/原島正治
舞台監督/伊東潤 演出助手/重村真智子 舞台美術/柄本明
宣伝美術/池口十兵衛 衣装/角替和枝 脚本協力/谷岡健彦
協力/ノックアウト 制作・主催/劇団東京乾電池
劇場名/東京・下北沢 ザ・スズナリ


  一見、無駄とも思える微細な長台詞を、もの凄い早口で延々と、まるで意味を無視したような無機質かつ無感情のように喋り捲る。
 しかも演じる役者たちの出で立ちは、まるで子供が造ったようなダンボール製のごとき甲冑姿だから、まるで恍けているような感じだ。
 それが延々と続いて、「一体、これは何だろう?」と思う頃、突然に重要人物がメリハリ付けて話し出す。すると、みるみる話が浮き出して、これは一種のテクニックなのかなとさえ思わせられる。
 その後もまだまだ、その無感情のような長台詞が続き、するとその後はまた改めて、じっくりと観客の胸にたたき込まれる。実に周到な計算づくの計算ともいえる。
 舞台は一面に設えられた高さ50センチほどの丸い盆型の二重だけで、舞台左右背景の4面はすべて黒一色……世界はこの単純な暗黒立方体4面と、その中にある台のような円筒形の上だけで展開し完結する。
 抽象的に濃縮され、スピードをもって、しかも克明に演じられると、逆にハムレットの悲劇が丁寧に彫琢されたような気がしたのも事実で、柄本演出の成果は意外ではあったが信じられたようだった。
単純化された舞台で、ハムレットを囲む悲惨な惨劇が、くっきりと浮かび上がったのだった。
墓堀・亡霊・ポローニアスの3役は、柄本明・ベンガル・綾田俊樹が演じ、その他ハムレットもオフェリアも含めて全編、56人の劇団員たちが、ダブル・トリプルの日替わりで演じる多人数・多彩のために出演者の紹介は割愛する。