映 画
friends もののけ島のナキ 
鑑賞日時/12.1.6. 16:45〜18:25
劇場名/東京・渋谷東宝


 切ない友情を描いた浜田廣介の昭和を代表する名作童話『泣いた赤鬼』が原作であるが、こういう素朴な童話を異形な人物造形で表現することには最初かなり違和感があった。不気味な感じが強かったからだ。だが考えるまでもなく、そもそも鬼の存在自体が異形の存在なのだと気がついた。
 人間社会から阻害され隔絶された人たちが、離島で生きるうちに異形となり異質の才能を会得したと、逆に人間達が思い込んだと解釈すれば、話は論理的にも納得がいく設定なのだ。
 しかも今度の原発災害で被害を受けた人たちが、放射能を恐れる人たちによって疎外された人たちという解釈も可能だ。
 たぶん戦国時代を思わせる日本のある村から見える沖合の小島が、その異形の人たちの暮らす場所だった。200年に亘って村人たちは、その島の人たちを「もののけ島」の化け物として敵対してきたのだ。
 当然、島のもののけ達も人間を嫌い敵対している。だが村の少年・武市は、母の難病の薬を求めて「もののけ島」にきのこを採りに行き、もののけの出現に驚き怖れ、偶然に付いてきた弟のコタケを島に残したことに気付かず逃げ去る。
 コタケは、島のもののけたちによって人質として虜になり、赤鬼のナキがコタケの世話をする事になり、そこからナキと無邪気なコタケの交流が生まれて、ナキの親友である青鬼のグンジョウを巻き込んだ「泣いた赤鬼」の話が展開する。
 ラストも母を亡くしたグンジョウが母を捜す旅に出るというシーンであり、自然で納得のゆく結末でオリジナルを膨らませた物語であった。
 僕は、これまでアニメの現実離れした表現についていけず、本格的なアニメは初めてだけれども、人物達の表情にいささか不気味さを感じた以外は、素直に観ることが出来たのだった。
 アニメも作り方によっては素晴らしい作品が可能だということを証明したのだった。