演目 ゼロから始める
観劇日時/11.12.3. 14:00〜15:15
劇団名/東京タンバリン
公演回数/11年12月札幌公演
作・演出/高井浩子 照明/工藤雅弘 録音/佐藤こうじ
音響/遠藤弘章 宣伝美術/タジマサヤカ
制作/東京タンバリン
主催/リアル・アイズ・プロダクション
劇場名/コンカリーニョ


業の肯定
 少人数のフランス語会話教室。教師・ルイ・ブィクトル(=ジャン・ガブ
リエル)が一人で開いているマンションの一室。
 生徒は笹本美月(=ミギタ明日香)をはじめ、北野春幸(=青山隆之)、
黒木元(=森啓一郎)、谷原清美(=青海衣央里)そして川越真奈(=柴田
薫)の5人で家族的な授業風景。
 いつの間にか美月と春幸は、わりない仲となる。だがこれはブィクトルと
組んだ一種の美人局だ。彼らはこれを常習としているから成功すると教室を
止めて次の仕事に取り掛かる。
 この話は古典落語の『三枚証文』である。つまりよくある話なので、それ
を巧く現代風俗として再生したと言えるけれども、ここでは、先日亡くなっ
た立川談志のいう、いわゆる「人間の業の肯定」というメッセージとして
は弱いと思う。
 教室と春幸の自宅、そして皆んなが集まる喫茶店との三ケ所で芝居が展開
する。その場面転換は暗転なしで全員がキャスターのついた椅子に座ったま
ま、物凄いスピードで移動して転換するのだが、それはとても洒落ていて、
そこがこの舞台の見どころなのかもしれない。
 舞台の左右、つまり上手・下手のたくさんの照明用ライトがびっしりと舞
台と客席の両方を眺めるように置かれていて、それは時に照明用として一部
が使われるけれども、どうもそれだけではないような気がする。
 初めから気になって、いろいろ想像していたのだが、何かこの十数個のラ
イトは人の目のようにも見える、というか初めから群衆としての視線を感じ
ていたのだ。そういう使い方だったら面白かったのにと思った。
 その他に、喫茶店の店員(=田辺冴香)が出演。