演目 ハローグッバイ
観劇日時/11.12.2. 14:00〜15:45
劇団名/パーソンズ
公演回数/第3回
作・演出/畠山由貴 照明/鳥海剛 音響/山崎耕太
制作/谷口美里
企画・制作・製作/劇団パーソンズ
劇場名/札幌地下鉄・東西線・琴似駅直結・PATOS


別れから始まる人生の四重奏
 暴走族のリーダー成美(=阿部星来)は高校時代、荒れて退学寸前になり、
担任教師・岡田(=村上義典)の計らいで、優等生の委員長・麗子(=佐藤
愛梨)を付きっきりにさせ、面倒を見させた。
 成美を見捨てない教師・岡田は辺地へ転校させられそうになる。成美は、
それでも面倒見を止めない二人の好意を知りつつ、わざとヒネクレていた。
 やがて成美は一念発起教して教師となる。そしてその成美が担任する生徒
・真(=マコト=宮崎安津乃)は禁止されている喫茶店でのアルバイトをし
ているが、その「みなみ珈琲店」の経営者は、成美の高校時代の優等生・委
員長の麗子であった。
 麗子は、4年前に世界放浪の旅に出た写真家である恋人の留守を預かって
この喫茶店を経営し、時に送ってくる世界中の写真を壁面いっぱいに飾って
いたのだが、いつの間にか恋人からの音信は途絶えていた。
 一方、麗子に片思いの謙二(=鎌田大介)はストーカーのごとくこの「み
なみ珈琲店」へ通っているが言い出せないでいる。
 常連の皐月(=能登屋南奈)はブライダル・プロデューサーだが仕事が不満
だし、同じ常連でかわい子チャンのリカ(=工藤舞子)は皆んなに好かれて
いると自惚れている。
 こういう情景が、高校時代の教室と、現在の「みなみ珈琲店」のシーンを
交互に描きながら演じられる。
 そしてあるクリスマスの夜。麗子宛にやっと来た彼から手紙は、永久に帰
国しないという別れの知らせだった。
 それを目撃した謙二は、我を忘れて麗子に告白する。あまりの突然のこと
に麗子は呆然と拒否する。
 皐月のボヤキによって、教師の岡田が教師を辞職し結婚して相手の家業を
継ぐことを知って半狂乱になる成美、成美は岡田の真意をすべて察していて、
密かに慕っていたのだ。
 そしてリカは、このクリスマスイブに誰も自分を誘ってくれなかったこと
に愕然とする。皐月は「青春残酷物語だね」と自嘲する。
 すべては終わった……それからちょうど一年、状況は何も変わってはいな
いが、皆んなの顔は過去を振り切って輝いているようだった。
 高校時代と現在との関係が、無理なく繋がれていて納得のいく展開なのだ
が、成美の人格表現が、教師になってからも若い時と同じように極端に悪ぶ
っているのがやや不自然である。学校での教師としての厳しさは良いのだが
喫茶店での行動は無理がある。
 謙二の性格もマンガチックなのだが、二人ともその方が分かり易くて面白
いのかもしれない。だがそれは逆に底が浅くなる危険性がある。もっとナチ
ュラルに表現した方が良くはないか?
 岡田教師と成美教師は、一種の教育論としての興味深い提案が感じられる。
思ったよりも収穫のあった舞台であった。