演目 貝の火
観劇日時/11.11.26. 19:00〜20:10
劇団名/チーム馬車馬
劇場名/札幌・中央区・中島公園内 子供の人形劇場こぐま座


新感覚の人形劇
スシ食いねェ!

 原案・演出/渡邊浩基 美術/安田晃子 人形衣装/安尻美代子
    ペープ先輩/渡邊陽子 ペープ操作/川島直子・柳本景子・安田晃子
    人形操作/渡邊浩基・矢吹英孝

  ペープサート(切り抜き絵による人形劇)で、まず3分ほどの昔流行った
 例の歌によるダンスだが、もう一度同じダンスを演じるとき、今度は蹴込み
 (人形遣いを隠す仕切用の幕)を透かし布に変えて、人形遣いの動きを見せ
 たのだが、これ自体がダンスのようで秀逸。今日の出し物で一番面白かった
 かもしれない。


イリュージョン

 原案・演出/渡邊浩基 出演/田中佐保子・矢吹英孝
 
  女の入った箱に何本もの剣を刺すおなじみの奇術。あまりにも規模が小さ
 いので衝撃も小さいが、幼い子供さんたちには興味が深い舞台だったかもし
 れない。

貝の火

 原作/宮澤賢治 脚色/渡邊浩基 美術/矢吹英孝 
 演出/チーム馬車馬 音響/佐藤剛 音響効果/西脇秀之
 人形衣装/安尻美代子
 出演/ホモイ=安田晃子 栗鼠・雲雀・子土竜=田中佐保子 狐=渡邊浩基
 老馬・土竜=矢吹英孝
 影絵操作=柳本景子 スーパー後見=川島直子

  賢治の「貝の火」の田園的な風景とはまったくイメージの違う舞台だ。舞
 台中央の少し奥に白い大きな布と、それよりも少し小さな布を何枚か重ねて
 垂らして作った円筒型の物体に映像を映すのだが、それは心象風景的な抽象
 模様であったり、揺れるスズランのクローズアップだったり、ホモイの影絵
 だったりする。
  表現方法は、30センチ前後の人形を、黒子(顔も覆った黒い衣装を着た役
 者)による出使い(人形遣いが舞台に体を現わす人形劇の表現法)だから普
 通なのだが、すべて台詞が全くない。
  笑い声、うめき声、かけ声などの生理的な声の他には、おそらく登場人物
 たちの名前だと思われる、不思議な固有名詞のような外国語のようなかけ声
 が発せられる以外に言葉はない。
  原作は誰でも良く知っているから単なる絵解きの解説にはしたくないとい
 う意図であろうか。だが、その意図がとても分かりにくい。
  観劇後、もう一度原作を読み返してみたけれども、やっぱり分からなかっ
 た。
  特に最初、ウサギの首なし胴体が中央に置かれて、ロバがその首を持って
 登場してその胴体に据える。そしてラストで頭を抱え込んでうずくまったウ
 サギの頭をもう一度ロバが引き抜いて持って去る、というシーンはおそらく
 ホモイの一場の夢とでもしたかったのだろうが、原作を知らない者には分か
 りずらいか、あるいは全く別の意味を感じるかもしれない。
  意欲的だが、余りにも観客任せに過ぎるようだ。慢心が身を滅ぼすが最後
 に希望を残す原作を首のすげ替えにしたのか?