演目 さいだいのしれん
観劇日時/11.11.26. 15:00〜16:45
劇団名/paingsoe
脚本/川尻恵太 演出/山田マサル 照明/前田ゆりか
音響/奥山奈々 舞台美術/高村由紀子
舞台製作/上田知 衣装/高橋綾香 主題歌/あらいふとし
演出助手/吉田奈穂子 フライヤー写真撮影/奥山奈々
フライヤーデザイン・映像/山田マサル 映像部/上田龍成
舞台部/浅野広子 制作/前田ゆりか	
劇場名/演劇専用小劇場 BLOCH


明るい虚無
 前2回の話を引きずっているようなのだが、高校の先生(=藤谷真由美)
とその教え子(=ツルオカ)との恋物語が主軸で、なぜか彼らは何かを探し
ている。それは抽象的で、宇宙の限界とか過去に戻れるのかとかいう類の捜
し物なのだが、そもそも「最大の試練」というタイトルから想像するような
話は出て来ないような展開で一定の物語としては進まないのだ。
 それに、いつものごとく9人の同級生が、高校時代はもちろん後年になっ
てからの再会や、その他の様々な時間、場所で様々な人物となって絡んでい
く。
 彼らの名前は具体的ではない、役者の名前で呼んだり○○ちゃんだったり、
そのことも極めて抽象的であり、実在感がないかと思うと人間の存在そのも
のはしっかりと描かれていて、リアリティがある。
 全体は、大きくて豪華な、舞台一杯に作られた書籍の中の開いたページに
いろんな映像が映し出されて話が進み、ある時にはページに閉じこめられて
シーンが終わったりする洒落た演出。
 大勢が絡んで進む話の展開の内容は下ネタ、特に卑猥語の連発であったり、
女が男の股間を握りしめたり、男は女の胸を揉んだり、だがそれはあっけら
かんとして、全く嫌悪感はない。
 一瞬の希望が見えたような次の瞬間、また元に戻って、その繰り返しは、
虚無の世界なのか?
 飛び上がり、取っ組み合い、転げ回り、猛烈な早口の台詞でエネルギッシ
ュな演技は、だからこの虚無的な物語を明るく感じさせるのだ。最大の試練
は来たのか来ないのか?それさえも判然としない現代の科学文明の閉塞感さ
えをも感じる。