演目 バッカス・マラカスは誰だ?
観劇日時/11.11.23. 14:00〜15:30
劇団名/WATER‐33〜39
作・演出・音楽/清水友陽 振付/中川原しをり
照明/清水洋和 舞台/ワタベジュンイチ
大道具/小室彰子 衣装/高石有紀 映像撮影/高田昌和
制作/岩田知佳 宣伝美術/小島達子 
プロデューサー/梶原芙美子
劇場名/札幌・琴似 パトス



現代の神話創り
 幻想的で時代が交錯するので物語は難解だ。しかも表現方法は抽象的かつ
様式的、さらに舞台設営は舞台上に高く低くアトランダムに置かれた杭のよ
うな柱のてっぺんを渡して真っ赤な太い紐が、開幕と同時にひとりでに動い
て張り巡らされる。真っ黒の舞台上にまるで蛇がのたくっているように不気
味だ。
 全幕を通して、その紐は縦横無尽に、さらに天井から降りてくるブランコ
のような黒い糸に引き上げられて、上下にも赤紐の枠が出来上がる。それら
は宇宙空間の星座を示すと同時に、地上の人工物の区切りをも示唆するよう
だ。
 そんな中で、炭鉱事故で死んだ祖父(=小林テルヲ)、蛇ババアと呼ばれ
るその妻(=高石有紀)、娘(=中川原しをり)、さらにその娘・アイ(=
中塚有里)らが時空を越えて絡み合う。
 娘は、死ぬとは何か? 神の存在とは? を求めて想像上のロボット(=赤
坂嘉謙)に乗って彷徨う。祖母である蛇ババアは犬のケルベロス(=佐井川
淳子)と共に、なぜか妨害する。恐らく蛇座なのだろうか?そして炭坑夫の
同僚・すかぶら(=畑山洋子)は、陰に陽に娘アイを保護しているようだ。
 おたまじゃくし(=奈良有希子)は文字通り、女たちの演奏する音楽を司
る。全員は時に応じて演奏し踊る。
 ロボットは石炭がエネルギーの原料で、それを掘っていたのが大好きな微
かな想い出のある祖父なのだが、このエネルギーには限界がある。すべての
エネルギーや物質そのものにも限界があるのではないのか? と。
 かなり形而上的なモチーフなのに、タイトルにも表現法にも諧謔味を出そ
うとした雰囲気は悪くないのだが、ちよっと大上段に構えすぎたような気が
する。