演目 Rock Bottom
観劇日時/11.11.19. 14:00〜15:50
劇団名/CHANTAC
作・演出/飯野智行 プロデューサー/佐藤仁
美術監/督川原亙
音響・音楽プロデューサー/金沢琢司 
舞台照明/佐藤律子 ヘアメイク/諸橋みゆき・浦柳悦子
宣伝/蓙大二郎 制作/THANTAC
劇場名/札幌・琴似 パトス


典型的な純情喜劇
 女にだらしなく2千5百万円のサラキンの借金に追われる男(=飯野智行)
は、三味線演奏の特技を生かして、だがまだまだ未熟だから、しがない小ラ
イブのささやかなコンサートしか出来ない。
 ある夜、酔った男(=竹内獅子丸)を助けようとして二人一緒に事故に遭
い、相手は記憶喪失症となり、三味線引きのマネジャーとなる。
 三味線奏者の彼には新しい恋人(=小橋亜樹)が出来つつあった。だが彼
女の本命は孤児院で一緒だった記憶喪失の男だったのだ。 
 記憶喪失男は、彼女が新しい恋人を選んだと誤解して恋人を譲って姿を消
す決心をする。事故も彼女の心を知った上での決心の狂言だったのだ。それ
を知った三味線男は自分こそ部外者だと悟り、身を引く。
 こういう典型的な悲劇的喜劇が延々と展開するのだが、獅子丸の演奏する
津軽三味線と、飯野と小橋の壷を心得た器用な芝居で、つい2時間近くを見
てしまう。
 客席も笑いがさざ波のように湧いて、結構楽しんでいたようだった。
 だが今日のこの舞台は、単なる表面的な人間関係の縺れであって、この三
人にとってはとても重要なことかもしれないのだが、たとえばたまたま昨日
観た『幸せ最高、ありがとうマジで!』のような、目に見えない人間の深い
奥底にある、典型的で普遍的な一種の悲劇を抉り出すようなところは感じら
れない。そこがこの舞台の限界なのであろう。