演目 ばらひまわり
観劇日時/11.11.15.
劇団名/AND
作・演出/亀井健 照明/上村範康 照明操作/松本典子
音響/Lynn 音響操作/望月音次郎 
舞台美術/上田知 
写真/原田直樹 フライヤーデザイン/近江康志 
劇場名/BLOCH


生きることの切なさ
 バラとヒマワリを対照的に象徴させているようにみえるけど、一体何処が
どういう風に違うのかっていうと難しい。つまりバラとヒマワリを二面性の
象徴というよりも、並列にあるものと考える方が良いのかもしれない。それ
ぞれの生き方の違いとでも言おうか。
 この芝居の登場人物はかなり屈折している人たちだ。正午(=亀井健)は
積極的に生きることを止めて、チャンランポランの人生を生きることを選ん
だ男だし、それを拾ったメデル(=八戸卓哉)は、クラブを経営しているの
だが何か中途半端だ。
 第一、半分人生を投げ出したような正午を引き取って友人として共同生活
をするというメデルの内面が不思議だ。そこにもメデルの屈折した人生が垣
間見える。
 この主筋に絡むのが、負けの人生を必死にしかし不器用に生きる女・丸山
由里子(=ナガムツ)だ。そして父親殺しの妄想に苛まれる氷上岳蔵(=長
流3平)。
 この人たちの人生は、それに絡むたくさんの人たちの自分勝手な生き方や
思いや、自分を正当化しようとする行為が滑稽に描写される。
 誤魔化して生きるのか、死ぬことも出来ない、じゃあどうするのか?自分
の苦悩を妄想として葬り去ろうとしながら、それを真実と思いこまざるをえ
ない人間の自己肯定の切ない弱さ。頼りなさ……
 これらの次々に展開する短いシーンを、エネルギッシュにしかもコミカル
に繋げながら、人たちの内面を描いていく。
 亀井健、最終にして渾身の力作。すべての結論を3月11日に設定して、次
の展望に寄託していく。
 その他の出演者。小原綾子・尾木志都子・赤谷祥次郎・
 岡村智明・高井ヒロシ・新井田琴江・
 ダンススタジオ「舞人」6名の出演。