演目 テンプティション
観劇日時/11.11.13. 14:00〜15:30
劇団名/弦巻楽団
作・演出/弦巻啓太 演出協力/高野大吾
照明/相馬寛之 音響/渡辺智之 衣装/斎藤もと
美術/潮見太郎 美術協力/杉吉貢
制作/弦巻楽団・大沼里子 制作協力/斉藤理子 
チラシデザイン/小島美紀
劇場名/シアターZOO


ミステリー喜劇
 離れ小島の古くて小さな小学校の空教室に、20年前に卒業した男女6人が
取る物もとりあえず集まった。
 当時の担任で、現在ここの校長である藤原家定(=松本直人)が危篤だと
いうメールが来たからだ。
 だが当の校長は元気一杯だ。この校長は嘘を吐いてからかうのが好きだっ
たから当然みんなは怒るのだが、校長は自分はメールなんて出来ないから偽
メールを出せるはずはないと言う。
 メールの発信者は分からなかったが、みんな何とか久しぶりに集まったの
だから楽しもうということになった。折しもフェリーは嵐で欠航し、帰り便
を失った一同は、その夜は一泊で遊ぶことになる。
 だが河原融(=潮見太郎)は何かを隠しているらしい。同級生同士の妻・
千里(=森田亜樹)は夫婦喧嘩をこの席にまで持ち込む始末だ。
 何か暗い陰のある紀伊祐子(=栗原聡美)は寡黙で、左京顕輔(=小松悟)
は、どうもこの首謀者らしいが、頑強に否定する。宇野さらら(=長岡登美
子)は子持ちの主婦であり、天野智(=弦巻啓太)は多忙なサラリーマンだ。
 そして、このメンバーは小学校時代、百人一首のかるたクラブの仲間だっ
たのだ。
 そのころ仲間の一人で事故死した坂上泉という女の子がいた。姉を慕う弟
の正則(=吉原大貴)がスリラーっぽく現れ、姉を殺したのは誰だと迫る。
 ここからがミステリィの展開になる。懐かしいかるたの読み札を読む校長・
家定の解説を聞きながら誰が犯人なのかを問いつめる。結局、当時の決着通
り事故死だったことを確認する。
 百人一首の歌の解説が巧く流れに乗って、百人一首の選者・定家が尊敬す
る鳥羽上皇を悼んだ歌を集めた為に、それらが死んだ泉を追悼する場になっ
たというのは良い着眼だが、肝心の嘘との関係、それにミステリィの展開が
弱く、面白さが盛り上がらない。薄味の上品な一幕であった。
 その他に、この学校の教員=トマト、事務員=斎藤もとが出演。